# ビジネスマンのための新教養 UXライティング ユーザーを導き、ビジネスを加速する、伝わるWebの書き方
髙橋慈子・冨永敦子/翔泳社/2020年10月刊。従来の「正確に、わかりやすく伝える」ビジネスライティングに加え、ユーザーの気持ちに寄り添い、ニーズを満たすように書く技法「UXライティング」を、UXデザインのプロセス(調査・分析からプロトタイプ、評価まで)と、実際に書くための具体的な文章技術の両面から解説する一冊。全5章は独立構成で、必要な章だけを読める設計になっている。個人利用の学習ノート(Kindle蔵書から生成)。
収録範囲: Kindle版スクショ142画面を全ページ収録(リフロー型のため画面単位)。
## コアフレームワーク
### マイクロコピーとタッチポイント
ユーザーとサービスが接する画面や場面を「タッチポイント」と呼び、そこで交わされるボタン・入力欄のヒント・通知文などの短い文章を「マイクロコピー」と呼ぶ。社会の価値がモノの所有からコト(体験)へ移るなかで、このマイクロコピーの質がユーザーの信頼・行動・ビジネス成果を左右する。ユーザーは直接システムを操作する人だけでなく、間接的に影響を受ける人(間接ユーザー)、意図せず影響を受ける人(受動的ユーザー)まで含めて幅広く捉えるのが出発点になる。
### 読み手視点・一文一義などのライティング原則
一文一義(1つの文に1つの事柄だけを書く)、語りかけるように書く(読み手を具体的に想像し日常会話の表現を使う)、ユーザー視点でことばを選ぶ(業界用語を避け「あなた」を主語に補って確認する)、丁寧さのさじ加減(読み手・親しさ・状況に応じて敬語の量を調整する)という4つの原則が、実際に文章を書く段階の中核をなす。専門用語の言い換え、入力ヒントの表示、エラーメッセージへの対処法の明記もこの延長にある。
### UXデザインの7段階プロセス(ペルソナ・ジャーニーマップ含む)
安藤昌也の枠組みに基づく「調査・分析→コンセプトデザイン→プロトタイプ→評価→提供」という7段階のプロセス。ユーザー観察・インタビューで実態を知り、ペルソナシートで仮想ユーザー像をチーム共有し、ジャーニーマップ(プロセス・タッチポイント・行動・思考・感情の5項目、AS-IS→TO-BE)で行動を時間軸に整理し、ストーリーボード・ワイヤーフレーム・プロトタイプで形にして、多様な立場のメンバーとユーザー自身で評価する。センスや感性に頼らず、根拠を持って文章とデザインを決めるための骨格になる。
### Before-After改善パターン
保険会社のオンボーディング、電子ピアノメーカーのFAQ、水産業のデジタル操業日誌、大学のオンライン授業移行、行政の電子申請といった実例が繰り返し示すのは、「製品視点・制度視点・機能視点」から書き始めた文章を「顧客視点・ユーザーの状況視点」に書き換えると評価や定着率が改善するという同一パターンである。現場に足を運びユーザーの「ことば」を直接集めること、既存のワークフローに溶け込む範囲で提案することが、改善を機能させる条件として繰り返し強調される。
### 定量・定性の効果検証(A/Bテスト・アンケート)
UXライティングは公開して終わりではなく、アンケート(目的を疑問文に具体化し、選択肢の距離感をそろえ、クロス集計で属性差を見る)とA/Bテスト(比較要素を1つに絞り、運用段階の改善に使う。ただし「なぜ選ばれたか」はインタビュー等の定性評価が必要)を組み合わせて効果を測定し、企画・設計・制作の各段階でのレビューと用語集・チェックリストの整備によって、組織的に改善サイクルを回し続ける。
## 章インデックス
| 章 | テーマ | ファイル |
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| はじめに・この本の使い方 | 本書の目的(UXライティングとは何か・プロセス・体験)と読み方 | `chapters/part1-ch0-introduction.md` |
| 第1章 | UX(ユーザー体験)がビジネスを変える(タッチポイント・マイクロコピー・DX) | `chapters/part1-ch1-ux-changes-business.md` |
| 第2章 | UXライティングで課題を解決する(国内事例:保険・電機・水産・教育) | `chapters/part1-ch2-solving-problems-with-ux-writing.md`(前半)/`chapters/part2-ch2-3-faq-guideline-continued.md`(FAQガイドライン続き)/`chapters/part2-ch2-4-marine-it.md`(マリンIT)/`chapters/part2-ch2-5-online-class.md`(オンライン授業移行)/`chapters/part2-column-assertiveness.md`(コラム:アサーティブネス) |
| 第3章 | UXライティングのプロセス(観察・インタビュー・ペルソナ・ジャーニーマップ・プロトタイプ・評価) | `chapters/part2-ch3-1-ux-design-process.md`/`chapters/part2-ch3-2-user-observation-interview.md`/`chapters/part2-ch3-3-persona.md`/`chapters/part2-ch3-4-journey-map.md`/`chapters/part2-ch3-5-prototyping.md`/`chapters/part2-ch3-6-evaluation.md`/`chapters/part2-column-e-government.md`(コラム:電子申請でつまずいた行政サービス) |
| 第4章 | わかりやすくなる書き方のポイント、UXのスタイルガイド | `chapters/part2-ch4-1-short-concise.md`(一文一義)/`chapters/part2-ch4-2-talk-to-reader.md`(語りかけるように書く)/`chapters/part2-ch4-3-user-perspective-words.md`(ユーザー視点のことば)/`chapters/part2-ch4-4-politeness-balance.md`(丁寧さのさじ加減)/`chapters/part2-ch4-5-hints.md`(入力ヒント、前半)/`chapters/part3-ch4-clarity-writing.md`(入力ヒント続き・エラーメッセージ・専門用語・機械翻訳・演習) |
| 第5章 | よりよく伝える改善の取り組み(アンケート・A/Bテスト・レビュー体制) | `chapters/part3-ch5-improvement-process.md` |
## 相談トピック → 参照先
- ボタンやエラーメッセージの文言に迷う → **第4章**(4.1一文一義、4.2語りかける、4.6エラーメッセージの対処法明記)
- FAQを改善したい、役に立ったと評価されない → **第2章**(顧客視点への書き換え事例、5段階の品質ガイドライン)
- ペルソナの作り方がわからない → **第3章**(3.3ペルソナ法、ペルソナシート4枠、ペルソナ共感マップ)
- ユーザーの行動を整理して課題を可視化したい → **第3章**(3.4ジャーニーマップ、AS-IS→TO-BE)
- アンケートの質問文・選択肢設計に迷う → **第5章**(5.1、疑問文への具体化、複合質問の回避、選択肢の距離感)
- A/Bテストをやってみたいが何を比較すればいいかわからない → **第5章**(5.3、比較要素は1つに絞る、なぜ選ばれたかは定性評価で補う)
- 専門用語をどう言い換えるか迷う → **第4章**(4.7、普通表現への置き換え・定義・比較例示・語源説明の4パターン)
- 入力欄で何を入れればいいかユーザーが迷う → **第4章**(4.5、プレースホルダーで具体例を示す)
- 敬語をどこまで使うべきか迷う、丁寧に書きすぎて長くなる → **第4章**(4.4丁寧さのさじ加減、読み手3分類と状況チェックリスト)
- 高齢層・非デジタル慣れのユーザー向けにシステムを設計したい → **第2章**(マリンIT事例、既存の行動・ことばを踏襲する)
- 限られた人員・時間で情報発信しなければならない → **第2章**(オンライン授業移行事例、心の声で絞り込み段階的に出す)
- ユーザーインタビューの質問をどう組み立てるか → **第3章**(3.2、クローズド質問からオープン質問へ)
- プロトタイプをどこまで作り込むべきか判断できない → **第3章**(3.5、目的・日数・費用の3要素で決める、ストーリーボード/ワイヤーフレーム/ペーパープロトタイプの使い分け)
- チーム内でユーザー像の認識がバラバラで議論が噛み合わない → **第3章**(3.3ペルソナ法、共有基準としての活用)
- 評価やレビューで意見が割れて決まらない → **第3章**(3.6、ペルソナに立ち返って判断)、**第5章**(レビュー体制・用語集・チェックリスト)
- 行政・制度寄りの説明文がわかりにくいと言われる → **コラム**(電子申請の失敗事例、制度ありき・機能ありきの罠)
- クレーム対応や問い合わせ文面で、相手を責めるような書き方になっていないか不安 → **コラム**(アサーティブネス、攻撃型・受身型・作為型の整理)
- 自動翻訳にかける前提の文章を書く必要がある → **第4章**(4.8、「が」の誤訳、所有・著作の曖昧さ回避)
- 社内文書やビジネスチャットにもUXライティングを応用したい → **第1章**(社内FAQ・チャットへの応用)
- 1人だけで小さくUXライティングを始めたい → **第5章**(コラム、1人でも回せる7プロセスの縮小版)
## 回答時の注意
- 事例のほとんどはWeb・アプリのUI文言だが、原則(一文一義、語りかけるように書く、ユーザー視点、丁寧さの調整)はメール・社内文書・ビジネスチャットなどビジネス文書全般に応用できる。
- 紹介事例は日本企業・日本の行政機関が中心(保険、電機、水産、教育、行政のオンライン申請など)。海外の巨大IT企業(GAFA等)は比較対象として触れられる程度で、詳細事例は国内が主。
- 「Before/After」の改善例は本書内の架空〜実在の文例であり、そのまま丸写しせず、相談者の状況に合わせて調整することを前提に紹介する。
- UXデザインの7段階プロセスは「調査・分析→…→提供」で終わる直線ではなく、提供後にまた調査・分析へ戻る循環構造である点を、プロセス全体を説明する際は明示する。
- 課題の分離(ペルソナ・ジャーニーマップ等の手法)はチームでの共同作業を前提に書かれている箇所が多いが、5章コラムにあるとおり1人でも縮小版として実践できる。