# 4.4 丁寧さのさじ加減を心得る
**中心主張**: 丁寧さは常に最大にすればよいわけではなく、読み手が誰か(ユーザー/社外/社内)、読み手との親しさ(期間・程度)、読み手の状況(緊急性・困っている程度・感情)によって適切な加減を判断し、過剰な敬語による冗長さを避けることが、ユーザーが本当に必要としている情報(対処法)を素早く伝える上で重要。
**論の展開**:
- ユーザーに対して丁寧に接することは大切だが、過剰な丁寧さは読み手をいら立たせることもある
- 例: IDを忘れたときの対処法を説明した文例4.4.1は、相手がユーザーなので「お選びください」「ご登録いただいた」「入力いただき」「お忘れになった」「お受け取りになった」「お探しください」「ご確認ください」のように敬語を多用している。1つの文の中に何回も敬語が出てくると文字数も増え、まどろっこしい感じがする
- IDを忘れて困っているときにユーザーが必要としているのは、丁寧な言葉遣いではなく対処法がすぐにわかること。文例4.4.2は過剰な敬語をなくし対処法を簡潔に書いている。「お探しください」ではなく「探してください」という普通の表現でも特に失礼な感じはしない
- どのくらい丁寧に書けばよいのかは読み手によって違う。文章を書く前に読み手は誰なのかを整理する。読み手は大きく分けると「ユーザー」「社外の人」「社内の人」に分けられる(図4.4.1)。社外の場合は仕事を依頼している会社の人、パートナー会社の人、監督官庁や自治体の人など。社内の場合も同じ部署、違う部署、人事部や経理部のような管理部門、決定権を持つ経営陣、上司・同僚・部下といった分け方がある
- 読み手との親しさによっても丁寧さは変わる。親しさはお付き合いの期間と程度で捉えられる。初めて会うユーザーと、長年お付き合いがあり気心の知れたユーザーとでは丁寧さは違う
- 同じ読み手でも状況が違えば丁寧さの加減も変わる。図4.4.2のチェックリストを使って、読み手の状況を緊急性、困っている程度、感情から整理する: 緊急性(低い⇔高い)、困っている程度(まったく困っていない⇔とても困っている)、感情(快=喜び・安心・期待など⇔不快=怒り・後悔・失望など)
- どのくらい丁寧に書けばよいのか迷うときは、丁寧さの程度を変えて2種類(敬語を使った丁寧なパターンと簡潔なパターン)を書いてみて比べる。同僚に読んでもらい感想を聞くのもよい
**実践指針**:
- 文章を書く前に、読み手が「ユーザー」「社外の人」「社内の人」のどれに該当するかを整理せよ
- 読み手との親しさ(お付き合いの期間・互いをよく知っている程度)を踏まえて、丁寧さのレベルを調整せよ
- 読み手の状況(緊急性・困っている程度・感情の快/不快)をチェックリストで整理し、緊急かつ困っている・不快な状況ほど、丁寧さより「対処法をすぐ伝えること」を優先せよ
- 過剰な敬語(お選びください・ご登録いただいた等の多用)で文字数が増えまどろっこしくなっていないか、対処法の説明では特に注意して見直せ
- 丁寧さの加減に迷ったら、敬語を使った丁寧なパターンと簡潔なパターンの2種類を書いて比較し、同僚などにフィードバックをもらえ
**根拠となる研究・事例**:
- 例 → ログインIDを忘れたときの対処法説明(文例4.4.1→4.4.2)。過剰な敬語をなくし対処法を簡潔にした結果、失礼な感じはせず、むしろわかりやすさが増した
**キーワード**:
- 丁寧さのさじ加減: 常に最大にすればよいわけではなく状況に応じて調整すべき度合い
- 読み手の3分類(ユーザー/社外/社内): 誰に向けて書くかを整理する分類軸
- 親しさ・状況のチェックリスト: 期間・程度(親しさ)と緊急性・困っている程度・感情(状況)で丁寧さを判断する図4.4.2