# 4.2 語りかけるように書く **中心主張**: 読み手を具体的に想像し、その人に語りかけるように書くことで、コンピューター特有の硬い表現やビジネス文書特有の堅い表現を、日常会話で使われる自然な表現に置き換えられる。 **論の展開**: - 世の中には読み手にまったく合っていない文章がある。それは「読み手に語りかける」という発想がないから - 企業側から配信されるメールの留意点を書いた文例では、読み手はコンピューターの専門家ではなく普通のユーザーだが、普通のユーザーを対象としている割にはコンピューター特有の表現が多く使われている。例えば「メール配信が行われる」。「友だちにメール配信を行った」とは普通言わず「友だちにメールを送った」と言う - ビジネス文書特有の堅い表現も見られる。「事由」「遅延」はビジネス文書で使われることはあっても日常生活で使われることはあまりない。日頃からビジネス文書に慣れている人には抵抗がなくても、そうでなければ「事由」「遅延」という文字を見ただけで読む気をなくしてしまう - 対処法は、まず読み手が目の前にいることを想像すること。あなたの家族や知り合いでもよい。このメールを受け取る人を想像し、その人に語りかけるように書く - コンピューター特有の表現「メール配信が行われる」は日常会話で使われる表現「メールが届く」に書き直す。「遅延」といった漢字の熟語も日常会話で使われる「遅れる」という表現に書き直す。漢字の熟語はひらがな混じりのことばに置き換えると雰囲気がやわらかくなる - 「事由」は「理由」に置き換えられるが、「システム障害等のやむを得ない理由により、」ではまだ堅い。目の前に読み手がいるなら「システム障害などのやむを得ない事態が起こった場合は、」などと語りかけるのではないか - 語りかけるように書くにはペルソナ法(3.3節参照)が役立つ。ディスプレーに文字を打つのではなく、ペルソナシートの似顔絵に向かって語りかけてみると、ペルソナに届く表現が見つかる **実践指針**: - 文章を書く前に、読み手(家族や知り合いでもよい)が目の前にいることを具体的に想像し、その人に語りかけるように書け - 「〜が行われる」のようなコンピューター特有の表現、「事由」「遅延」のようなビジネス文書特有の堅い漢字熟語は、日常会話で使う表現(「届く」「遅れる」等)に置き換えよ - 硬い表現を柔らかくする際は、漢字の熟語をひらがな混じりのことばに変換することを検討せよ - 語りかける表現に迷ったら、ディスプレーに向かうのではなくペルソナシートの似顔絵に向かって実際に語りかけてみよ **根拠となる研究・事例**: - 例 → 企業から配信されるメールの留意点説明(文例4.2.1→4.2.2)。「メール配信が深夜に行われる場合があります」→「深夜にメールが届く場合があります」、「システム障害等のやむを得ない事由により、メール配信は一時的に中止あるいは遅延されることがあります」→「システム障害などのやむを得ない事態が起こった場合は、メールが一時的に届かなくなったり、遅れたりすることがあります」 **キーワード**: - 語りかけるように書く: 読み手を具体的に想像し、その人に話しかけるように文章を書く方針 - 日常会話表現/堅い表現の言い換え: コンピューター特有・ビジネス文書特有の硬い表現を日常語に変換する手法