# 3.3 ペルソナ法でユーザーの顔を「見える化」する
**中心主張**: ユーザー調査・分析の結果を「ペルソナシート」という具体的な仮想ユーザー像に落とし込むことで、チーム全体が同じユーザー像を共有でき、ライティングやレビューの判断基準として一貫性を保てる。
**論の展開**:
- プロトタイプを作ったり画面のメッセージを考えたりし始めると、ユーザーを忘れて提供側視点で書いてしまうことがある。「若手」「中堅」のような曖昧なイメージのまま書き始めると、想定する読み手がブレる「顔ナシ」の状態になる
- ペルソナ法(米国のソフトウエア設計者アラン・クーパーが1999年に提唱)は、実在する人のように仮想のユーザーを具体的に描写する手法。属性の詳細設定だけでなく、ユーザー調査に基づく価値観や行動パターンの検討によりユーザー像を作る
- メリット①固有のニーズを持つユーザーを満足させられる: ユーザータイプを絞ることでニーズを明らかにし、特徴のないサービスになるのを防ぐ
- メリット②チームでユーザー像を共有できる: 「若手」「中堅」の捉え方は人によってまちまちなので、ペルソナを作ることで共通認識を持て、「このペルソナならどう思う?」を判断基準にブレをなくせる
- 「ペルソナシート」は4つの枠で構成: (1)名前とイメージ(2)プロフィール(性別・年齢・職業)(3)行動と特徴(4)ニーズと不満。サービス開発に関わる全員で作成し、①各自が(2)〜(4)を書き込む→②発表する(他者のペルソナを否定・批判しないルール)→③1人のペルソナに合成する→④名前と似顔絵を書き込む、の手順で整理する
- 複数のペルソナを作る場合は人数分シートを作るが、数が多すぎると典型的なユーザーを具体化・活用する目的があいまいになるため優先順位を付けて数点に絞る
- 作成後は常に見える場所に貼り出し、グループウエアにも登録して随時参照できるようにする。文章のレビュー時も「設定したペルソナにとって理解しやすいか」を判断基準にする
- ペルソナは最初に作って終わりではなく、プロジェクトを進める中で必要があれば修正・追加していく。最初に決めた人物像を踏襲しながら成長させ、友人として付き合っていくイメージ
- サービス開発でより細かく要求を分析するなら、「ペルソナ共感マップ」(Think&Feel/Hear/See/Say&Do/Pain/Gainの6項目でユーザーの内面を整理する図)も使える
**実践指針**:
- システムやサービスの文章を書く前に、「若手」「中堅」のような曖昧な読み手イメージのまま書き始めていないか自問せよ
- 開発チーム全員でペルソナシートを作成し、各自の案を発表・共有したうえで1人のペルソナ像に合成せよ(他者の案を否定・批判しない)
- 複数タイプのユーザーがいても、ペルソナは優先順位を付けて数点に絞り込み、目的をあいまいにするな
- ペルソナシートは作って終わりにせず、常に見える場所に貼り出しグループウエアにも登録し、文章のレビュー基準として使え
- 文章を書くときは、ディスプレーではなくペルソナシートの似顔絵に向かって語りかけるようにことばを選べ
- プロジェクトの進行中、必要があればペルソナを修正・追記し、最初の人物像を踏襲しながら成長させよ
- より細かいニーズ分析が必要な場面では、ペルソナ共感マップ(Think&Feel/Hear/See/Say&Do/Pain/Gain)を活用せよ
**根拠となる研究・事例**:
- 例 → ペルソナを意識せず学生を含む若者向けに書いた説明文(BEFORE、硬い定義的な説明)と、ペルソナ「中井優介さん」(25歳、システム開発の技術者、新卒3年目、報告書がわかりにくいと指摘され報告書作成に悩んでいる)を意識して書き直した説明文(AFTER、「テレワークが普及した現在」から入り社内文書の書き方から学ぶ導線を示す平易な文章)の比較
- 示唆 → 同じ内容でも想定読み手を具体化するだけで、書き出しや導入の作り方が大きく変わる
- 出典: イゴール・ハリシキヴィッチ「実践デザインマネジメント」東京電機大学出版局、p.216(2019)/アラン・クーパー(1999年提唱)
**キーワード**:
- ペルソナ法/顔ナシ: 実在する人のように仮想ユーザーを具体化する手法/曖昧なままの読み手イメージ
- ペルソナシート: 名前・プロフィール・行動特徴・ニーズ不満の4枠で構成する整理シート
- ペルソナ共感マップ: Think&Feel/Hear/See/Say&Do/Pain/Gainでユーザーの内面をより細かく分析する図