# 3.2 ユーザー観察とインタビューでユーザーを知る
**中心主張**: ユーザーを外側から「観る」(行動観察)と内側から「聴く」(インタビュー)を組み合わせることで、頭の中で想像していたユーザー像からはわからない「新たな気づき」を得ることができる。
**論の展開**:
- 行動観察は、システムやサービスを利用するユーザーの行動を外側から観て記録・分析する手法。実際の利用場所(オフィス、市役所など)で、時間がかかっている作業やとまどいながら進めている操作はどこかなど、行動を通して課題を見出す
- インタビューは、行動観察だけではわからない、ユーザー自身が気づいていないニーズや本質的な欲求を聴く手法(図3.2.1: ユーザー観察=外から観る、インタビュー=内から聴く)
- インタビューの質問には2つのタイプがあり、組み合わせて聞いていく: クローズド質問(「はい」「いいえ」で答えられる質問。例:「学習アプリを使っていますか?」)とオープン質問(「なぜ?」「どのように?」を引き出すための質問)
- 答えやすいクローズド質問から始めてオープン質問へと進めるとよい。オープン質問はそこから深堀りしていくもので、「はい」なら「どのようなときに、どのような目的で使っていますか?」、「いいえ」なら「なぜ、使っていないのですか?」と聞くことで具体的な使い方や理由を探れる
- あらかじめ決めた質問順に沿って質問を進めるのではなく、ユーザーから教えてもらう姿勢で聴く。ここでもユーザーを中心に考えることが重要
- 複数のユーザーに個別に聞くことで多様な声を引き出せるが、数人をグループに分けて質問に意見を述べてもらう「グループインタビュー」の方法もある。ユーザー同士が互いの意見を話し、聴くことで率直な感想や隠れたニーズを引き出せる
- さらに「ワークショップ」を実施して、ユーザーとともに考え、隠れたニーズや「ことば」を引き出していく方法もある。課題を設定し、参加者同士が課題に取り組むことで体験を通して気づきを引き出す(例: 学生に「自分たちがもっとも使える就活サイトを作ってみよう」という課題)
- ワークショップでは、設計内容にそって進行する「ファシリテーター」と呼ばれる中立的な立場の進行役も決めておく
**実践指針**:
- システムやサービスの利用実態を知りたい場面では、まずユーザーの実際の利用環境(オフィス、店頭、市役所など)で行動を観察し、時間がかかる作業やとまどう操作を記録せよ
- インタビューの質問は、目的や知りたいことに応じて数・内容を設計し、答えやすいクローズド質問から入り、深掘りしたい点はオープン質問(なぜ?どのように?)で聞け
- 質問順にこだわらず、ユーザーが話す内容から柔軟に、ユーザーから「教えてもらう」姿勢で聴け
- 複数ユーザーの多様な声や隠れたニーズを引き出したいときは、グループインタビューやワークショップの実施を検討し、中立的なファシリテーターを置いて進行せよ
- オープン質問では、聞き手がほしい情報に誘導しないよう注意せよ
**根拠となる研究・事例**:
- 学習アプリの利用有無を尋ねる例で、クローズド質問「学習アプリを使っていますか?」からオープン質問「どのようなときに、どのような目的で使っていますか?」へと深掘りする質問設計を提示(図3.2.2、図3.2.3)
- 示唆 → 「はい」「いいえ」それぞれに対応する深掘り質問を用意することで、より具体的なニーズが見える
**キーワード**:
- 行動観察: ユーザーの利用場所で実際の行動を外側から観て記録・分析する手法
- クローズド質問/オープン質問: 「はい/いいえ」で答える質問と「なぜ/どのように」を引き出す質問
- グループインタビュー/ワークショップ/ファシリテーター: 複数ユーザーから声や気づきを引き出す手法と進行役