# 3.1 UXデザインのプロセスを活用しよう
**中心主張**: UXデザインは「調査・分析→コンセプトデザイン→プロトタイプ→評価→提供」という7段階のプロセスを経て、ユーザーを詳しく分析しながら開発を進める手法であり、UXライティングもこのプロセスの手法を活用することでセンスや感性に頼らずユーザーが理解しやすい文章を書ける。
**論の展開**:
- UXデザインのプロセス(千葉工業大学 安藤昌也教授の著書を基に作成、図3.1.1): ①利用文脈とユーザー体験の把握 ②ユーザー体験のモデル化と体験価値の探索 ③アイデアの発想とコンセプトの作成 ④実現するユーザー体験と利用文脈の視覚化 ⑤プロトタイプの反復による製品・サービスの詳細化 ⑥実装レベルの制作物によるユーザー体験の評価 ⑦体験価値の伝達と保持のための指針の作成
- 各段階に対応する主な手法: ユーザー観察・インタビュー・ペルソナ・ジャーニーマップ(AS-ISモデル)/ジャーニーマップ(TO-BEモデル)/プロトタイプ/ユーザーによる評価
- システム開発手法にも変化がある。従来のウォーターフォール型(要件定義→仕様設計→実装→テストを1回で完了)に対し、アジャイル型は「設計→実装→テスト」の短いサイクルを繰り返して改善する
- ユーザー調査を行いプロトタイプを作りユーザー評価をして寄り添ったサービスを作り上げていくUXデザインと、アジャイル型開発は共通点が多い
- NPO法人人間中心設計推進機構(HCD-Net)が2020年11月に公表した「人間中心デザインの基礎知識体系」(図3.1.3)では、要求定義・具現化(プロトタイプ作成を含む)・評価の3プロセスを、理念・計画・基本知識・運用を土台に互いに行き来しながら進めることが特徴とされる
- 従来型(発注担当者が機能を考え、システム開発会社が請け負う)のシステムはユーザーにとって使い勝手が悪く最悪使われないという状況が多く起きており、こうした状況を変えるためHCD-Netはユーザーだけでなく発注者・経営者・SE・プロジェクトマネージャーが持つべき基礎知識体系を整理した
- 本書では3.2以降、ユーザーインタビューやペルソナなどUXデザインの典型的な手法を簡素化し、身近な例で活用できるように解説する。自分で手を動かすことでユーザーを見る目、捉え方を養う
**実践指針**:
- システムやサービスの文章を書く前に、UXデザインの7段階プロセス(調査・分析→コンセプト→プロトタイプ→評価→提供)を踏まえ、いきなり文言を考え始めるな
- 開発手法がアジャイル型の場合は、UXデザインのプロセス(調査・プロトタイプ・評価のサイクル)と歩調を合わせ、ライティングも反復的に見直す前提で進めよ
- UXデザインの専門家でなくても、発注者・SE・プロジェクトマネージャーなど関係者は人間中心デザインの基礎知識体系(要求定義・具現化・評価を行き来する考え方)を共有せよ
- 自分で手法(ペルソナシート等)に実際に書き込んで体験することで、ユーザーを見る目・捉え方を養え
**根拠となる研究・事例**:
- 状況 → 発注担当者が機能を考え、システム開発会社が請け負って開発する従来型のシステムは、ユーザーにとって使い勝手が悪く最悪使われないといった状況が多く起きている
- 結果 → 人間中心デザインの考え方を取り入れたUXデザインの実践が注目され、HCD-Netが関係者向けの基礎知識体系を整理・公表(2020年11月)
- 示唆 → 発注者や経営者、SE、プロジェクトマネージャーなど専門家でない関係者もUXデザインの基礎知識を持つべき局面が増えている
- 出典: 安藤昌也「UXデザインの教科書」丸善出版、p.108(2016)/NPO法人人間中心設計推進機構(HCD-Net)『HCD(Human Centered Design)の考え方と基礎知識体系(報告書)』http://doc.hcdnet.org/hcdbasic_report.pdf
**キーワード**:
- UXデザイン: ユーザー体験を高めるため、ユーザーを詳しく分析するプロセスを経て開発を進める手法
- UXデザインのプロセス(7段階): 調査・分析、コンセプトデザイン、プロトタイプ、評価、提供の各フェーズ
- ウォーターフォール型/アジャイル型: システム開発手法の違い。UXデザインはアジャイル型と相性がよい
- 人間中心デザイン(HCD): 要求定義・具現化・評価を行き来しながら進める考え方