# 第4章 自分をマーケティングせよ!(My Brand設計図編)(part2から続く章)
## 中心主張
著者がプレゼンや面接、何千人の前でも緊張しないのは「本能」でも「無理」でもなく、あらかじめ自分自身というブランド(「My Brand」)を戦略的に設計しておく「ある準備」をしているからだ。マーケティングの手法(ブランド・エクイティー・ピラミッド)を自分自身に適用することで、キャリアにおける再現性の高い成功確率を高められる。
## 論の展開
- マーケティングを自分に使うと3つの効果がある。①プレゼンや面接で緊張することから解放される(不安や気負いから解放された「My Brand」を予め設計しておくことで、精一杯努力する自分に一貫した行動をとらせられる)②自分のキャリア戦略の最重要な設計図として機能し、次第に現実の実力が追いつき、結果としてブランド・エクイティーが縦に積み上がっていく③自分のブランドが選ばれる確率を高める(購買者の頭の中にイメージを組み込むように、評価者の頭の中に確立できているかがすべて)
- 「My Brand」の設計図はブランド・エクイティー・ピラミッドという三角形のフレームワークを使う。頂点が「攻略する市場」(ドメイン)、次に「ターゲット」(WHO:ST=戦略ターゲット/CT=コアターゲット)、「便益」(WHAT:RTBに支えられる)、土台が「便益を提供する主な手段」(HOW)、三角形の外側に「ブランド・キャラクター」(ブランドを擬人化した性格)が付く
- ドメイン(攻略する市場)の設定は「目的と自身の経営資源に照らして、広すぎず狭すぎず」が基本原則。狭すぎれば市場が枯渇して勝てなくなり、広すぎればリソースが薄まる
- WHO=誰に買ってもらうか。就活ならOB/OG・面接官がコアターゲット(CT)になりうる。ST(戦略ターゲット)はより広い層
- WHAT=何を買ってもらうか。ブランドの本質的な購買理由(便益)。RTB(Reason To Believe)はその便益を信じるに足る根拠(資格・実績・エビデンス)で、便益とセットでなければ機能しない
- HOW=どうやって届けるか。便益を実現する具体的な仕組み・スタイル。ブランド・キャラクターはHOWを人格に落とし込んだ性格設定(好き嫌いに強く影響する)
- My Brandを設計する4つのポイント:Believable(信じられるか)、Valuable(価値は十分強いか)、Distinctive(際立っているか)、Congruent(自分の本質と一致しているか)
- スピン(誇張した見せ方)は奨励するが、ウソは設計してはいけない。自分の本質と乖離した誇張は破綻する
- キャリアとは自分をマーケティングする旅である。2つのMy Brandパターンを比較すると、会社視点の無難な設計(パターンA)よりも、自分の「軸」で選んだ差別化された設計(パターンB)の方が採用されやすい
## 実践指針
- 就活・転職の面接に臨む前は、自分の「My Brand設計図」を三角形で紙に書き出し、WHO/WHAT/HOW/ブランドキャラクターを明確に定義せよ
- ドメイン(軸)は広すぎず狭すぎず、自分の経営資源(時間・気力・手間・スキル)に見合った範囲で設定せよ
- 便益(WHAT)を語るときは必ずRTB(根拠)をセットで示せ。根拠のない便益は誰にも信じてもらえない
- 印象づけたい相手(面接官・OB/OG等)はコアターゲットとして絞り込み、接点を最大化せよ
- スピン(誇張した見せ方)は使ってよいが、自分の本質(Congruent)と一致しない嘘は設計するな
## 根拠となる研究・事例
- USJ:テーマパークという狭い活動領域(ドメイン)に絞って集客率を倍増させた → ドメイン設定は狭すぎず広すぎずが重要という実例
- 森岡毅自身の20代P&G時代のMy Brand設計図(図形II):ターゲットはP&Gの同僚・上司・上司の上司、便益は「困難なビジネスでも伸ばすことができる」、RTBは「抜群の戦略思考力とリーダーシップ、一貫した業績」、HOWは「数学のマスタリーに基づく独自の戦略構築ノウハウ」「科学的アプローチで成功確率が高いマーケティング力」「部門横断で発揮される強いリーダーシップ」、ブランドキャラクターは「情熱的」「剛腕」「悪い人じゃない」
- 2つのMy Brand比較(図形III):パターンA(日本企業向け、「まじめ」「責任感が強い」という無難な設定)とパターンB(本人の軸で規定した候補企業向け、「粘り強い」「革新的思考力」という差別化された設定)。同一人物Aさん・Bさんの比較を通じ、戦略的に差別化されたパターンBの方が魅力的に伝わることを示している
## キーワード
- My Brand: 自分自身をブランドとして戦略的に設計・運用する考え方
- ブランド・エクイティー・ピラミッド: 市場(ドメイン)・WHO・WHAT(RTB含む)・HOW・ブランドキャラクターからなる設計図フレームワーク
- ST(Strategic Target)/CT(Core Target): 戦略ターゲットとコアターゲット
- RTB(Reason To Believe): 便益を信じるに足る根拠
- Believable/Valuable/Distinctive/Congruent: My Brand設計を評価する4つの軸
- スピン: 誇張して見せる技術(ウソとは明確に異なる)