<!-- pages: part2 35 --> # 27章 毎日オープンな姿勢でいる ## 中心主張 物語の締めくくり。二日間の研修を経たトムとアナは、駐車場に向かいながら互いにフィードバックを求め合う。トムが認めた最大の発見は「自分自身の存在が他の人たちにどんな影響を及ぼしているか、そのことに気づかないことがしばしばある」であり、アナは「今に勝る時はない」を自分の言葉として使い、その場でトムに率直なフィードバックを返す。そしてそれぞれの家庭へ帰っていく。 ## 論の展開 - 駐車場に向かいながら、アナが「じつに興味深い二日間だったわね」と切り出す。トムは「予想していたのとは、まるで違ったな。君はどう思った?」と返す。 - アナの総括:消化には時間がかかりそうだが、物事を明確にするにはこのやり方のほうがいい。「わたしは人に好かれようとするあまり、重要だけれど気詰まりな話し合いを避けてきた」。 - トムの総括:「今というじつに明白なことのように思えるんだが……自分自身の存在がどんなふうに他の人たちに影響を及ぼしているのか、そのことに気づかないことがしばしばある、という事実を認識していなかった」。 - トムがアナに直接フィードバックを求める(自分と仕事をしていてどんな感じがするのか、どうすればいいか)。アナは息を吸ったものの躊躇する——シェリルとの話が今日一番の大仕事だと思っていたのに。 - トムは「まあ、今じゃなくてもいいんだけどね」と急いで言い添えるが、アナは「今に勝る時はない、のよね?」と応じて答える(ルーの口癖を自分のものにしている)。 - アナのフィードバック:あなたとの仕事はリラックスしたものではなかったが、それは一つには自分に自信がなく、人からこう見られたいという思いがあったから。あなたが業界に精通していると以前から聞いていて、自分が無知で経験が浅いと見られるのではと不安だった——特に研修の参加者が二人だけだと知ったとき。 - トムの応答と改善案:みんなの意見にもっときちんと耳を傾け、そのプラスの側面に注目する。「アイデアをさっさと却下したりする——特に、わたしやうちの営業チームからのアイデアを。でもそういうやり方をやめるべきだとは思わないけれど、ときどきあなたの話し方や振る舞いを変えるだけでは十分でないんだろうなあ——外向きの思考になっていないと」。 - 次の一手の合意:月曜日にミーティングを設定し、二つのチームがよりいい形で機能するようブレインストーミングを行う。「彼らにも、自分たちの目標がどんなふうに絡み合っているのかを理解する機会が必要だと思うから」。全員に招集を掛け、共謀の図を見せる。 - 結び:トムの携帯に娘から「今晩映画に行く話、今も生きてる?」とメール。アナは夫ジェイミーに電話し、子どもたちが水遊びをしている笑い声を聞く。ジェイミーはピザを作っており、アナはアイスクリームを買って帰ると告げる。 ## 実践指針 - 「重要だけれど気詰まりな話し合い」を、人に好かれようとする気持ちで避けていないか点検せよ。 - 自分の存在が他の人たちにどんな影響を及ぼしているかは、放っておくと気づけないと前提せよ。だから聞く。 - 同僚に直接フィードバックを求めよ——「自分と仕事をしていてどんな感じがするのか、どうすればいいか」。 - 求められたフィードバックを先送りしそうになったら「今に勝る時はない」を適用せよ。相手が「今じゃなくてもいい」と逃げ道を用意しても、その場で答える。 - フィードバックを返すときは、相手の振る舞いだけでなく、自分の側の事情(自信のなさ、こう見られたいという思い)も併せて開示せよ。 - アイデアを即座に却下する癖がある人は、まず耳を傾け、そのプラスの側面に注目する行動に置き換えよ。ただし振る舞いの変更だけでは足りず、外向きの思考が伴っている必要がある。 - チーム間の連携を進めるには、日付を決めてミーティングを設定し、双方のメンバー全員に「自分たちの目標がどんなふうに絡み合っているのか」を理解する機会を作れ。共謀の図をその場で共有する。 ## 根拠となる研究・事例 - **アナの自己総括**:「消化するのに、ちょっと時間がかかりそう。でも、物事を明確にするには、ああいったやり方のほうがいいと思う。わたしは人に好かれようとするあまり、重要だけれど気詰まりな話し合いを避けてきた」 → 23章・26章のシェリルの件と一貫。 - **トムの自己総括**:「今というじつに明白なことのように思えるんだが……自分自身の存在がどんなふうに他の人たちに影響を及ぼしているのか、そのことに気づかないことがしばしばある、という事実を認識していなかったんだよなあ」。 - **その場でのフィードバック交換**:トムが「実は君に、わたしと仕事をしていてどんな感じがするのか、どうすればいいかを聞きたい」と求める → アナは躊躇(シェリルとの話が今日一番の大仕事だと思っていた) → トムが「まあ、今じゃなくてもいいんだけどね」と言い添える → アナ「今に勝る時はない、のよね?」と応じて答える。示唆:ルーの口癖が二人の実務語彙になっている。 - **アナのフィードバック内容**:「あなたとの仕事は、公園の散歩みたいにリラックスしたものではなかったけれど、それは、一つにはわたしに自信がなかったからだし、人からこう見られたいと思うところがあったから。あなたがこの業界にいかに精通しているかは、以前から耳にしていて、自分が無知で経験が浅いと見られるんじゃないかと不安だった。特に、テオのこの研修に参加するのがあなたとわたしの二人だけだと知ったときは」。 - **トムの改善案**:「みんなの意見にもっときちんと耳を傾けて、そのプラスの側面に注目することができる」——アイデアをさっさと却下する癖への対処。 - **次の一手**:月曜日のミーティング。二つのチームがよりいい形で機能するようブレインストーミングを行い、メンバーにも「自分たちの目標がどんなふうに絡み合っているのか」を理解する機会を作る。全員に招集を掛け、あの共謀の図を見せる。 - **家庭への帰着(二つの並置)**: - トム:車に乗ると携帯が鳴り、娘からのメール「今晩映画に行く話、今も生きてる?」——18章の衝突からの回復を示す。 - アナ:夫ジェイミーに電話。後ろで子どもたちの笑い声。「また、水遊びをしているの?」「ばれましたか! トランポリンを使ってジャンプしていたんだけれど、それからああなって、こうなって……。夏は本当に早く過ぎてしまうから」。ジェイミーはピザを作っており、アナはアイスクリームを買って帰ると告げる——17章で語られた夫への優越感といらだちの解消を示す。 ## キーワード - **今に勝る時はない**:ルーの口癖。認めるべきこと・伝えるべきことに気づいたら、その場で実行するという原則。物語の終盤でアナとトムの語彙になる。 - **オープンな姿勢でいる**:日々の実務のなかで外向きの姿勢を維持すること。一回の研修ではなく毎日の実践。 - **自分の存在が他者に及ぼす影響**:気づかないことがしばしばある、ゆえに直接尋ねる必要があるもの。 - **目標の絡み合い**:チーム間の連携の前提として、各自の目標がどう相互に依存しているかを全員が理解している状態。