<!-- pages: part2 38-47 --> # 付録 グループディスカッションガイド (第1部を巡るグループディスカッション用のガイド。各テーマが「◎フォーカス・ポイント/◎グループ・ワーク/◎応用編」の三段構成になっている。一覧性が本体のため、各項目は要点と設問の列挙にとどめる。) ## 中心主張 本書の考え方を咀嚼して現実生活に適用するのを後押しするツールとして、第1部を巡るグループディスカッションのガイドが提供される。主要な考え方の要約、グループで取り組む際の問いや活動、さらに探究・応用するための考え方が載っており、グループで討論しない場合でも個々人が同じように使える。第2部以降のガイドは読者自身が作成することが推奨されている。 ## ガイドの位置づけ(p39) - 用途:本書の考え方を実生活で適用するのを後押しするツール。 - 内容:主要な考え方の有益な要約/グループで取り組む際の問いや活動/さらに探究し応用するための考え方。 - 単独利用:グループで討論しない場合でも、個々人にとって同じように力を発揮する。 - 発展:これらの考え方を自分の組織に適用して継続的な文化変容を成し遂げてきた、何千もの研究所の顧客たちの列に加わることを真剣に考えている読者にとって、このガイドはアービンジャーのワークショップに参加する準備となる。読者はアービンジャーのワークショップを自分の組織内に広める資格を認められ、劇的な変容の触媒となることができる。 ## 収録テーマ一覧 ### 1. 自己欺瞞を考える(p40) - **フォーカス・ポイント**:テオが自分の若手企業弁護士時代(サンフランシスコの取引案件)の経験を語り、「仕事に全身全霊を捧げ自己犠牲を払っていたのに、自分の気が散って心ここにあらずなのが他のみんなには見えていた」と問いかける。自己欺瞞は単に自分が問題を引き起こしていることに無自覚であるだけではない——無自覚が問題なら自覚すれば済む話である。自己欺瞞の特徴は、これらの問題を自分が引き起こしているのかもしれないという可能性そのものに対する抵抗にある。 - **グループ・ワーク**:与えられた環境の中で自分は最善を尽くしていると信じていたのに、素直に振り返るとじつは最善を尽くさないことの口実を環境の中に捜していただけだった、という事例を共有する。/もしも当時誰かが「君は最善を尽くしていない」と言ったとしたら、自分はどう反応したか。/このことから、自己欺瞞の性質についてどのようなことがわかるか。 ### 2. リーダーの仕事を考える(p41) - **フォーカス・ポイント**:リーダーのもっとも重要な仕事は、他の人びとを的確に見ること、そして彼らが的確に見る手助けをすることである。 - **グループ・ワーク**:自分がこれまでに会ったもっとも優れたリーダーはどのような人物だったか。/彼らがそこまで有能だったのはなぜか。/彼らは自分をどのように見ていたのか。/彼らは自分が導くべき人びと、ともに働く人びと、リーダーたちを、どう見る助けをしてくれたのか。 - **応用編**:テオはトムとアナに、二人のチームが互いをどれほど歪んだ目で見ていたかを浮かび上がらせ、「君たちのチームが互いを見る見方であり、またそれぞれのチームが、自分の認識が正しいと信じていることだ」が非生産的な振る舞い以上に大きな問題だと言う(チームが相手に対して持つ認識こそが、チーム間のすべてのやり取りを形作るため)。この力学を踏まえて、自分が加担している覚えのある諍いの渦中にあるグループを考えてみる。/彼らの見方の何が、双方を非生産的で有害な振る舞いに導いているのか。/これらのグループが互いを見ている見方の何が、解決法を見出すことを妨げているのか。 ### 3. 自分の認識を点検する(p42-45) - **フォーカス・ポイント**:ゼンメルワイスの物語は自己欺瞞という病の性質を理解する上で重要な比喩である。産褥熱同様、自己欺瞞は認識を歪める病気であり、人間関係に悲惨な影響を及ぼし、著しく危険なまでに感染力が強い。保菌者は医学界で病態失認と呼ばれる症状を呈する——自分自身が病気であることを認識できない。「もし人びとを的確に見ることができなければ、自分たちが助けようとしているその人びとを傷つけてしまう」(テオ)。ゼンメルワイスの物語は「厳しい警告である」。 - **グループ・ワーク**:なぜウィーン総合病院の医師たちは、人命がかかっているにもかかわらず、ゼンメルワイスの発見や推奨した手順に抵抗したのか。/自分自身を振り返り、職務とは単に自分の義務を果たすことだけでなく、それらの義務を他の人びとが成功できるような形で満たすことなのだという事実を見失っていた経験を回想する。/自分が状況を正しく見られなかったせいで事態を悪化させたか。/その結果はどのようなものであったのか。/どのようにして最終的に自分自身が問題の一部だということを理解するに至ったのか。 - **フォーカス・ポイントの補足**:「わたしたち一人一人が、他の人びとと互いに繋がりあっている」。だから、自分が他の人びとに及ぼす影響を考慮せずに自分のパフォーマンスを正確に測ることは不可能である。親であったり、同僚であったり、リーダーであったりするというのはそういうことなのだ。けれどもそれこそが、自己欺瞞に陥って内向き思考になったときに見えなくなること——実際には自分が見たくないもの——である。思考が内向きになると、他の人びとが自分に及ぼす負の影響しか見えなくなる。 - **応用編**:自分の職業上の、あるいは私的な役割について考え、箇条書きにしてみよう。 - 記入シート「わたしの役割」(1〜6の記入欄)(p43) - 問い(p44):自分自身の仕事の仕方が、誰に影響を及ぼすのか。/自分を頼っているのは誰なのか。/彼らの目標、ニーズ、望み、欲求は何なのか。/これらの問いについて考えるなかで、自分自身の努力が確実に正しい影響に繋がるために、誰のことについてもっと学ばなければならないか。/今日自分は、自身の影響をよりよいものにするために、何ができるかを考えて書いてみよう。 - 記入シート(p45):「相手」/「彼らの目標」/「ニーズ(ないと困るもの)」/「望み(将来どうなりたいか)」/「欲求(今欲しいのは何か)」 ### 4. 自分への裏切りを振り返る(p46-47) - **フォーカス・ポイント**:他の人びとを"人"として見ていれば、どうしたら彼らを手助けできるかを巡ってさまざまなイメージや考えが浮かび、何かを感じることができる。これらの感覚を無視することが、自分への裏切りである。それは、自分たちが人びとを"人"として見ているときに感じたことを尊重しそこね、それに基づいて行動し損なうことである。 - **グループ・ワーク**:他の人に対して自分がなすべきことを感じながら、その感覚を尊重できなかった事例を確認する。/次に自分への裏切りの図を完成させて、自分自身および対応すべきと感じた相手を自分がどう見ていたかを書く。/発見したことをディスカッション・グループのみんなと、あるいは信頼できる助言者と共有する。 - 問うべき事柄:自分自身が他の人より上等だ、あるいは下等だと思っていたか。/自分自身や他の人びとへのそのような見方は、現実をどのように歪めていたのか。/これらの自分自身や他の人びとへの内向き思考の自己欺瞞的な見方は、慢性化しているのか。/この誤った自己像が他の状況ややり取りの中に姿を表しているということに気づいているか。/自分自身や他の人びとをそんなふうに見ているときに、他の人が自分と仕事をしたり生活したりするのはどんな感じなのか。 - **図10 自分への裏切りの枠組み**(p47):自分の感覚「役に立ちたい」→「選択」→「自分が感じたとおりにしない」/「自分が感じたとおりにする」。前者から「自分への裏切り」へ、そこから「自分をどう見るか」と「相手をどう見るか」の二つに分岐する。 - **末尾の指示**:第2部以降のガイドも自ら作成してみてほしい。 ## キーワード - **フォーカス・ポイント/グループ・ワーク/応用編**:各テーマの三段構成。要点の提示、共有と問い、実務への適用。 - **病態失認**:自分自身が病気であることを認識できない症状。自己欺瞞の比喩として使われる(ゼンメルワイスの物語)。 - **自分への裏切り**:他者を"人"として見たときに湧いた「こうすべきだ」という感覚を無視し、それに基づいて行動し損なうこと。 - **図10 自分への裏切りの枠組み**:感覚 → 選択 → 裏切り → 自分と相手の見方の歪み、という因果連鎖の図。