<!-- pages: part2 36-37 -->
# おわりに——この本で取り上げられている問題について
(本文の書き手はアービンジャー・インスティチュート。物語ではなく著者団体による解説パート。)
## 中心主張
「自分を欺くこと」=自己欺瞞は、差し迫った問題であると同時に、いつでもどこででも生じる問題である。職場でも私生活でも、人間関係と組織のなかで幾度も直面する問題の根には「自分自身やほかの人々を"人"として見ることができない」という事実があり、そのせいで問題が生じたり悪化したりする。他の人々を的確に見ることは、個人と組織の成功の礎としてきわめて重要である。
## 論の展開
- 問題の位置づけ:自己欺瞞は緊急でありながら遍在する。職場・私生活の双方で、人間関係のなかでも組織のなかでも繰り返し直面する。
- 根本原因の特定:それらの問題の根っこには、自分自身やほかの人々を"人"として見られないという事実がある。
- 現実の描写:わたしたちはそれぞれ人間関係のなかで生きており、喜びをもたらす関係もあれば、いらだちや苦痛の元になる関係もある。だが残念なことに、たいていは他の人々を"人"として見ておらず、そのうえいとも容易く相手を"人"として見ることをやめる。
- 著者団体の使命:アービンジャー・インスティチュートは、職場に「人間らしさ=人間性」を持ち込むことを使命としている。顧客たちは「仕事に人間性を持ち込む」という考えを実践することで見事な成果を上げてきた。
- 経験的裏付け:彼らの経験自体が、他の人々を的確に見ることが個人や組織の成功の礎としてきわめて重要である、ということを裏付けてきた。
- 物語の出自の開示:本書の物語には、インスティチュートの顧客であるさまざまな組織において、一人一人が日々この考えを学び、現実に適用して人間関係を変え、組織の力を解放して成果をもたらすまでの様子が映し出されている。物語という形を取ることで、実生活でのきわめて多様な逸話や経験を集めて組み合わせ、脚色することができた。本書の物語はそうやって編まれたものである。
- 本書の二重の目的:①自己欺瞞を理解し、見抜いて、軽減すること ②他の人々や自分自身を的確に見る術を身につけること。
- 結び:「自分自身が大事であるのと同じように、他の人々も大事である」という基本的な真理を土台として日々を送り、リーダーとしての力を発揮するうえで本書が助けになれば、と心から願っている。
## 実践指針
- 人間関係や組織の問題を扱うときは、表面の対立ではなく「自分自身やほかの人々を"人"として見られているか」を根本原因として疑え。
- 良い関係を持っている場合でも、相手を"人"として見ることを「いとも容易くやめる」ものだと前提し、点検を継続せよ。
- 職場に持ち込むべきものは技法ではなく人間性である、という基準で施策を評価せよ。
- 日々の土台に置く命題:「自分自身が大事であるのと同じように、他の人々も大事である」。
## 根拠となる研究・事例
- **物語の出自**:本書の物語は特定の実話一件ではなく、アービンジャー・インスティチュートの顧客組織における多様な逸話や経験を集めて組み合わせ、脚色して編まれたもの。示唆:トム/アナ/テオ/ルー/ケイトらの事例は複数の現実の合成であり、汎用の型として読むべきもの。
- **顧客組織での成果**:「仕事に人間性を持ち込む」という考えを実践することで見事な成果を上げてきた。彼らの経験自体が、他の人々を的確に見ることが個人・組織の成功の礎として重要であることを裏付けてきた。
## キーワード
- **自己欺瞞(自分を欺くこと)**:差し迫った問題であると同時に、いつでもどこででも生じる問題。
- **仕事に人間性を持ち込む**:アービンジャー・インスティチュートの使命を表すフレーズ。職場に「人間らしさ=人間性」を持ち込むこと。
- **他の人々を的確に見る**:個人と組織の成功の礎。本書の実践目標。
- **基本的な真理**:「自分自身が大事であるのと同じように、他の人々も大事である」。