# チートシート:場面 → 行動 → 根拠
『PMBOK対応 童話でわかるプロジェクトマネジメント[第2版]』(飯田剛弘、秀和システム、2022)より。根拠欄の「付章N」はPMBOK編の節番号。
## 1. 立ち上げ(プロジェクトの定義・関係者の特定)
| 場面 | 行動 | 根拠 |
|---|---|---|
| 仕事を任された | 独自性・新規性・有期性があるかでプロジェクトかルーチンワークかを判別する。プロジェクトなら PDCA ではなく「立上げ→計画→実行→終結+監視・コントロール」で回す | 第1章 |
| 「とにかく始めよう!」と言いたくなった | 止まる。それは失敗の代表的原因(目的が曖昧/資源不足/納期が短すぎる/作業漏れ/リスク対応不足)の入口 | 第1章 |
| 目的が共有できていない | 7つの質問に答えさせる(何のために/なぜ今/何をもって完成・成功か/スケジュール・コスト・品質のどれが優先か/目標は5W1Hの文章になっているか/体制と手順を決めているか/記録を残す気があるか) | 第1章 |
| プロジェクトを公式に始める | キックオフミーティングの**前に**プロジェクト憲章を作り、公式に認可させる。憲章はプロジェクトを定義しPMを任命する文書 | 付章3 |
| 計画着手前 | キックオフミーティングで目的・背景・目標・成功基準・体制・情報伝達のルールを全員で共有し、最後にスポンサーからGOサインをもらう | 第1章 |
| ステークホルダーが誰か曖昧 | 権力(影響度)×関心度の2軸で分類する。高権力×高関心=最大限の努力で注意深く、高権力×低関心=要求を満たし満足を保つ、低権力×高関心=常に情報共有、低権力×低関心=最小限のモニター | 第1章、第7章、付章12 |
| 抵抗するステークホルダーがいる | 関与度評価マトリックスで「現状」と「目標」を書き分ける。抵抗的な相手の目標は支持的ではなく**中立的で十分**。対策は抵抗する人に絞り、支援者には手を広げない | 第7章 |
| 自組織の権限構造を確認する | 機能型(PMの権限はほぼなくコーディネーター的)/プロジェクト型(PMの権限が非常に大きい)/マトリックス型(上司が2人で複雑)のどれかを踏まえてPMの権限と責任を明確にする | 付章1 |
## 2. 計画・見積もり
| 場面 | 行動 | 根拠 |
|---|---|---|
| 計画がまだ立てられない | 放棄せず、できる範囲で立てて進みながら段階的詳細化する。立てないことは失敗する計画を立てることと同じ | 第1章、付章3 |
| 目標を書く | SMART(Specific/Measurable/Attainable/Relevant/Timely)で書き、「何を」は簡単な動詞でシンプルに表現する | 第2章、付章4 |
| 目標を上から与えられそう | 自分たち(チーム)で設定し直す。他人から言われた目標はやらされ感を生み、自発的に決めた目標だけが推進力を生む | 第2章 |
| 優先順位を決める | 「やること」だけでなく**「やらないこと」を程度まで具体的に決める**。「寝ない」ではなく「1時間以上休まない」 | 第2章 |
| 要求が分からない | 遠慮せずスポンサーに聞きに行き、聞き取った内容を**要求事項文書**として記録に残す | 第1章、付章4 |
| スコープが曖昧 | スコープ記述書で「何をどこまでつくるか」を定義し、機能要件・構成要素・受入基準まで書く | 第1章、付章4 |
| 作業の抜け漏れが怖い | WBSでツリー状に分解し、見積り可能な単位(最下層=ワークパッケージ)まで落とす。各要素の作業内容はWBS辞書に書く | 第1章、付章4 |
| 品質要件を書く | 「丈夫な家」ではなく「◯◯m/sの風に耐える」のように**定量的な評価尺度**で定義する。測れない要件は検証できない | 第1章 |
| 期間を見積もる | 作業量(1人で終えるのに必要な時間)と所要時間(カレンダー上で終わるまでの時間)を必ず区別する | 第1章 |
| 人を増やせば早く終わると言われた | 可変時間作業(レンガ積み=人を増やせば縮む)と固定時間作業(設計図を描く=縮まない)を見分けてから答える | 第1章 |
| 作業順序を決める | ネットワーク図(プレシデンス・ダイアグラム法など)で前後関係と並行関係を可視化する。順序を曖昧にしたまま日程だけ引かない | 第1章、付章5 |
| コストを見積もる | 管理する前に方針をつくる(どの単位で管理するか、報告の内容と頻度)。そのうえでアクティビティ単位の資源コストを積み上げ、コンティンジェンシー予備を盛り込む | 付章6 |
| 前提を置いている | 無意識の前提条件(「オオカミは襲ってこない」「ライオンは現れない」)を文書化し、妥当性を繰り返し確認する。認識されない前提が最大のリスク | 第1章、第2章 |
| 制約条件を受け取った | その根拠を確認する。「本当に長距離なのか」「どれくらいの距離を意味するのか」を問い直し、予算や完成日が根拠なく独り歩きしないようにする | 第2章 |
| 標準やテンプレートを導入する | そのまま適用せず、このプロジェクトで何をやるべきかを決め直す(テーラリング)。組織のルールに現場を合わせるのではなく、現場に合わせてルールをつくる | 付章1・13 |
| 進め方の型を選ぶ | 要件が事前に固まる/大型ならウォーターフォール、要件が決められない/短期更新の反復ならアジャイル、濃淡があればハイブリッド | 付章1 |
## 3. 実行・進捗管理
| 場面 | 行動 | 根拠 |
|---|---|---|
| 進捗を共有する | ガントチャートで計画バーと実績バーの2本を並べ、マイルストーン・チャート(予定/実績/備考)で日付の達成を管理する | 第1章、第5章 |
| スケジュールに余裕がないと感じる | クリティカル・パス(最も時間のかかる経路)を特定して重点監視し、フロート(余裕)のある経路の担当者にサポートを依頼する | 第1章 |
| 特定の人に作業が集中している | 負荷率(1日8時間=100%)を計算して可視化し、100%超が続くなら開始時期をずらす・他メンバーに振るなどチームで調整する | 第1章 |
| バッファがある | 余裕を理由に着手を遅らせない。キリギリスは「余裕がある」を口実に着手せずデッドラインを越えた | 第5章 |
| 「順調です」「進捗50%です」と報告された | 鵜呑みにせず、具体的に何をやったのか、どんな問題があったのか、どう対応したのか、なぜ挽回できると思ったのかを聞く | 第5章 |
| 問い直すとき | 詰問ではなく「問題や気になる点があれば一緒に解決しよう」というスタンスで臨む | 第5章 |
| 将来のリスクを説得したい | 「今のペースで進めればいつまでに何が起きるか」をシミュレーションして数字と事実で示す | 第5章 |
| 納期を縮めろと言われた | ①スコープ調整(成果物を減らす・品質を下げる)を検討 → ②ファスト・トラッキング(依存関係と相互影響が小さいときだけ並行実行) → ③クラッシング(人員を確保できるか・追加費用が認められるかを先に確認)。短縮は無料ではなく手直しとコスト増を伴う | 第1章、付章5 |
| 実績と計画にズレが出た | 是正処置を提案するか変更要求を出し、承認されて初めて変更作業に着手する。承認されたらベースラインと関連文書を必ず更新する | 付章3・5・6 |
| コスト超過を把握したい | アーンド・バリュー法(PV=予定コスト、EV=完了分の金銭価値、AC=実コスト)で比較し、総予算を予測する | 付章6 |
| 品質を確保したい | 成果物の品質と作業(プロセス)の品質を分けて定義し、検査項目とチェックリストを作る。計画が適切に実行されているかを監査し、非効率なプロセスがないかも調べる | 付章7 |
| 品質問題の原因を絞りたい | QC7つの道具を使い分ける。原因の優先順位づけはパレート図、根本原因の解析は特性要因図 | 付章7 |
| 終わらせる | 完成した最終成果物をステークホルダーに確認してもらい正式に終了させる。進め方・問題・解決方法を記録し教訓として残す | 第1章、付章3 |
## 4. リスク
| 場面 | 行動 | 根拠 |
|---|---|---|
| 不利な話や不穏な情報を耳にした | 「まだ確定ではない」と流さず、その時点で分かる範囲でリスクとして立てて備える | 第4章 |
| リスクを洗い出す | 1人でなくチーム全員のブレスト(ノミナル・グループ法、デルファイ法)、ステークホルダーへの相談、チェックリストを併用し、**リスク登録簿**にまとめる | 第1章、第4章、付章10 |
| 優先順位をつける | 発生確率×影響度で定性的に分析する。高確率×大影響=優先度1(予防と発生時対策の両方)、低確率×大影響=優先度2(発生時対策)、高確率×小影響=優先度3(都度判断)、低確率×小影響=優先度4(無視可) | 第1章、第4章 |
| 対応策を決める | 脅威には回避/転嫁/軽減/受容の4分類から選ぶ | 第1章 |
| 好機(チャンス)が現れた | 脅威対策と同じ熱量で取りに行く。活用(資源投入で確実に活かす)/共有(最も活かせる第三者に任せる)/強化(確率や影響度を大きくする)/受容 | 第4章、付章10 |
| 発生時の備えを書く | コンティンジェンシー・プランを作り、**トリガー・ポイント**をYES/NOで判定できる形で定義する(「森に連れていかれる時」「森の中で置いていかれる時」) | 第4章 |
| リスク対応を実行した後 | 必ず振り返る。①予想と実際の差はどれくらいか ②対応策でリスクは軽減したか ③対応策のコストと時間は問題なかったか | 第4章 |
| 前提条件や状況が変わった | 新たなリスクが生まれたとみなして再評価する。「対応策の変更は必要か」「トリガー・ポイントに変更はないか」「資源は十分か」を自問する。定期的なリスク監査も行う | 第1章、第4章、付章10 |
| 計画を変更せざるを得ない | その場の思いつきで代替しない。承認なき変更は二次リスクを生む(小石→パンくずの差し替えが鳥に食べられた) | 第4章 |
| 「前回うまくいったから今回も」と思った | 1回目と2回目の相違点を検証してから再利用する | 第4章 |
| 手を打つべきか迷う | 判断基準を事前に設ける。ベースラインと実情の差異の程度・兆候・深刻度で要否を判断し、対応するなら「誰が・何を・いつまでに・どのレベルで完了か」までアクションプランに書く | 第5章 |
## 5. ステークホルダー・コミュニケーション
| 場面 | 行動 | 根拠 |
|---|---|---|
| チームで進める | 「誰が・いつ・どのような情報を・誰に・どんな形式で伝えるか」を計画時に決め、コミュニケーション・マネジメント計画書にする | 第2章、第3章、付章9 |
| 依頼や指示を出す | 「何を」「いつまでに」「どのように」「なぜ・何の目的で」を必ずセットで伝える | 第3章 |
| 情報を受け取る側 | 理解した内容を要約して確認を返す。フィードバックが返らない伝達は伝達ではない | 第3章 |
| 情報共有が乏しい | 崩れる前に定例会議という場をつくる。日常業務の忙しさに任せると共有は起こらないので半強制的に場を設ける | 第3章、第5章 |
| 定例会議を運営する | 原則全員参加/目的とアジェンダを事前に明確化/終了時間厳守/前回の約束の進捗報告/困っている人を支援/誰がいつまでに何をやるかを明確化/議事録を直後に共有し次回のTODO兼アジェンダにする | 第3章、第5章 |
| 行動計画を書く | NGワード(管理する・検討する・徹底する・しっかり・可能な限り)を使わない。誰が・いつまでに・何をするかと、そこから生まれる**成果物**を書く | 第3章 |
| 情報がない現場に入る | 作業の前に情報共有のルールを先に設ける。初期は質より量、「否定や批判はしない」を明示のルールとして宣言する | 第3章 |
| 相手の行動が理解できない | 「あの人はおかしい」と切り捨てず、自分の基準と相手の基準が違うと認識する。まず自分の基準を知ってもらい、次に「なぜそう考えるのか」と背景を取りに行く | 第5章 |
| 意見の対立(コンフリクト)が起きた | 押さえ込まず**対決・対峙**(Win-Win)を選ぶ。相違点を洗い出し、目的を踏まえて双方が納得できる最適案を新しく生み出す。強制はWin-Lose、鎮静と撤退はLose-Lose | 第3章 |
| 相手の案に反対したい | まず最後まで能動的に聴く(アクティブリスニング)。傾聴した上で代替案を出すと合意に至りやすい | 第3章 |
| 権限がないのに協力を得たい | 相手にとって価値のあるもの(カレンシー)を先に渡し、価値の交換で人を動かす(コーエン&ブラッドフォードの影響力モデル)。強制ではなく交換 | 第3章 |
| やる気が続かない | 外発的動機付け(報酬・評価)は速いが一時的。薄れる前に次の刺激を用意し、最終的には内発的動機(目的そのもの・成長・貢献)に移す | 第3章 |
| 役割を割り当てる | WBSを全員に見せて得意分野・適性・希望を聞き、役割を「与え合う」。作業目的から逆算して人を当てる(偵察は上空のキジ・木のサル・地上のイヌ)。責任者は必ず1人、他は支援に回る | 第1章、第3章 |
| 初対面 | 話す内容より先に見た目・身だしなみと声のトーンを整える(初頭効果、メラビアンの法則)。自分から先に自己開示する | 第6章 |
| 打ち解けたい | 共通点を探し、話し方や呼吸を合わせ(ペーシング)、動作を合わせ(ミラーリング)、相手の言葉を繰り返す(バックトラッキング)。接触回数そのものを増やす(単純接触効果) | 第6章 |
| 相手の提案が自分の常識と食い違う | 「ありえない」と即断せず「ありえるかもしれない」と意図的に思う。否定した瞬間に相手は考えることをやめる | 第6章 |
| 相手の機嫌が明らかに悪い | 背景も分からないまま感情的に応じない。淡々と必要最低限にとどめ、傾聴・相槌・共感でその場の目的だけを達成する | 第6章 |
| 嫌味や否定的な発言を受けた | 議論せず一言だけのシンプルな返答(オウム返し、「そうですね」)で流す。文句を言う人は理解や競争を求めていないことが多い | 第7章 |
| その場にいない人の批判が始まった | 同調も傾聴も避け、すぐ話題を変えるか離れる。黙って聞くだけでも同調したと勘違いされる | 第7章 |
| メンバーの仕事の進め方に不満がある | 周囲に漏らさず本人を呼んで直接話す。話す対象は人格ではなく行為・行動に限る | 第7章 |
| チームの状態が読めない | タックマンモデル(成立期→動乱期→安定期→遂行期→解散期)で捉える。動乱期の対立を「壊れかけ」と誤読しない | 付章8 |
## 6. 困りごと・助け合い
| 場面 | 行動 | 根拠 |
|---|---|---|
| 自分が詰まっている | 「何ができないか・何が難しいか」を具体的な言葉にして開示する。抽象的な「大変です」では助けようがない | 第1章 |
| 1人で完結しない仕事を抱えている | チームの力を借りる。抱え込むと時間もストレスも増え、他のメンバーや顧客に迷惑がかかる | 第1章、第5章 |
| メンバーが1人で抱え込んでいる | 能力ではなく「支援を求める機会」「悪い情報を出せる雰囲気」「迷惑をかけてはいけないという思い込み」のどれが原因かを疑う | 第5章 |
| 問題が上がってこない | 「問題ないことが問題だ」「問題を隠すことが問題だ」という価値観をチームで共有し、話しやすい雰囲気・褒め合うルール・本音を言える関係性を設計する | 第4章、第5章 |
| 他のメンバーが困っている | 依頼を待たず自分から支援する。助け合いの文化はPMの号令ではなく実例から芽生える | 第5章 |
| 状況が曖昧で次の一手が見えない | 「ということは?」を繰り返して具体的な行動に落とす(食糧がない→資源確保が必要→体力消耗に注意→2人で協力) | 第4章 |
| 失敗の原因を追う | 「なぜ?」を繰り返して真因に至り、次に「何?」で対策を出す。「なぜ間違えたのか(人)」ではなく「何が間違えさせたのか(仕組み)」に視点を向ける。「だから?」「どうやって?」も併用する | 第2章、第4章 |
| 理不尽な状況で心が折れそう | ワイナーのモデルで「能力がなかった」ではなく「努力が足りなかった/課題が難しすぎた」と解釈する。次はもう少し頑張ればよくなるかもしれないと期待できる | 第7章 |
| 自分にできないことがある | 得意・不得意を率直に伝えて任せる。他人の方がうまくできる仕事はその人に任せる方がプロジェクト全体としてうまく回る | 第4章 |
## 7. 調達・外部委託
| 場面 | 行動 | 根拠 |
|---|---|---|
| 自分たちで用意できない成果物がある | 内外製分析を行い、内製か外部調達かを判断する。判断の前に「誰を、何を、いつ準備するのか」を決めておく | 第7章、付章11 |
| 発注先を決める | いきなり交渉に入らない。調達文書を納入候補に配付し、必要なら入札説明会を行い、発注先選定基準で提案書を評価して選ぶ | 付章11 |
| 契約タイプを選ぶ | コスト増リスクを誰が負うかで選ぶ。定額(一括請負)契約=納入者が負担、実費償還契約=購入者が負担、T&M契約=中間(上限価格の設定を検討) | 付章11 |
| 外部と契約する | 品質・スコープ・納期・コストを書面で合意し、**購入者側も**合意内容を実行する。契約は納入者だけを縛るものではない | 第7章 |
| 契約が進行している | 納入者が約束通り実行しているか(契約履行状況)を適宜検証する。問題があれば交渉し、契約の見直しや変更要求を行う | 第7章、付章11 |
| 調達が終わった | 調達監査として計画から完了までの作業と進め方をレビューし、教訓を文書化する | 第7章 |