# 付章 PMBOKへの橋渡し(part5に続く) > 童話ではなく、本編で学んだ内容をPMBOKの体系に対応づける解説章。part4 の範囲では「1 プロジェクトマネジメント用語の基礎知識」と、PMBOK第6版以前のプロセス群5つ・知識エリア10の一覧までを収録。**この章は part4 の途中(知識エリア表)で切れており、続きは part5 に続く。** **中心主張**: 童話で学んだ知識を実務に活かすには、PMBOKの全体像に紐づけておく必要がある。PMBOKは第6版までのプロセス中心(5つのプロセス群×10の知識エリア)から、第7版で原理・原則とプロジェクト・パフォーマンス領域へ大きく構成が変わった。両者の位置づけを押さえておくことが、以後の学習効率を左右する。 ## 実践指針 - **プロジェクトを定義する場面では**、「決められた期間内に、今まで誰もやったことがない新しいプロダクトやサービスなどの成果物をつくる業務」かどうかで判定せよ。定常業務と混同しない。 - **成功条件を定める場面では**、代表的な制約条件を明示せよ。何をどこまでやるのか(スコープ)/期限内か(スケジュール)/予算内か(予算・コスト)/人材や機材は十分か(資源)/品質基準を満たしているか(品質)。 - **ひとつの制約を優先する場面では**、他の条件への影響を必ず確認せよ。複数の制約条件のバランスを取ることがプロジェクトマネジメントの本体。 - **複数のプロジェクトを抱える場面では**、関係するもの同士をプログラムとしてまとめ、個々の目標よりプログラム全体の目標達成を優先せよ。さらに上位の視点で優先順位と資源配分を決めるのがポートフォリオマネジメント。 - **組織構造を確認する場面では**、自社がどのタイプかを理解してPMの権限と責任を明確にせよ。機能型では機能部門長が権限を持ちPMの権限はほぼない(コーディネーター的立場)、プロジェクト型ではPMの権限が非常に大きい、マトリックス型では上司が二人になり人事管理とコミュニケーションが複雑になる。 - **プロジェクトマネジメントを組織に定着させたい場面では**、PMOの設置を検討せよ。複数プロジェクトの横断的な調整・管理、手法や価値観の標準化、プロジェクト間の資源共有の最適化を担う。ただし役割や機能は企業により差異がある。 - **PMBOKを学ぶ場面では**、版の違いを意識せよ。第6版までのプロセス/知識エリアと、第7版の原理・原則/パフォーマンス領域では前提となる考え方が異なる。 ## 根拠となる事例・考え方 第7版で構成が大きく変わった背景として、本文は「プロジェクトの具体的な成果も大切だが、それ以上にプロジェクトによってもたらされる結果や価値が重要という考え方が世の中に広まってきたこと」を挙げる。加えて、現在は不確実で将来の予測が困難な時代のため、決まったアプローチややり方に従うだけではうまくいかないケースが増えた。そこで第7版は、プロジェクトにどう取り組むかの基礎として「プロジェクトマネジメントの原理・原則」を紹介し、それを基に活動するにあたっての行動指針として「プロジェクト・パフォーマンス領域」を定義している。 なお本書は2022年時点の記述で、PMBOKは第7版まで刊行されているとしている。 ## キーワード - **プロジェクト**: 決められた期間内に、今まで誰もやったことがない新しいプロダクトやサービスなどの成果物をつくる業務。 - **プロジェクトマネジメント**: 合意された制約条件内で目標を達成させるために、様々な知識やツールを利用し、プロジェクトを成功させるための活動。プロジェクト関係者に新たな価値や満足をもたらす。 - **プログラム**: 複数の関係するプロジェクトをまとめたもの。プログラムマネジメントは個々のプロジェクトの目標達成より、プログラム全体の目標達成を求める。 - **ポートフォリオ**: プロジェクトやプログラムなどのまとまり。どのプロジェクト/プログラムに優先的に取り組むかを決め、状況に応じて資源を配分してビジネスの戦略を達成する手段。 - **プロジェクトマネージャー**: 知識・考え方・行動・能力が求められる役割。顧客、メンバー、ベンダー、他部署とのコミュニケーション能力、問題や対立を解決する力、経営や業務の知識、リーダーシップの発揮、最終的な意思決定、現場のムードづくりが期待される。 - **PMO(プロジェクトマネジメント・オフィス)**: 複数のプロジェクトを横断的に調整・管理し、各プロジェクトのマネジメントを支援するグループ。 - **PMBOK**: PMI(プロジェクトマネジメント協会)がまとめたプロジェクトマネジメントの知識体系。 - **プロセス**: プロジェクトの目標を達成するためにやるべきこと(手順や処理など)。 - **プロセス群(第6版以前)**: 立上げ(プロジェクトを定義し認可を得る)/計画(目標達成のための全体的な計画を立てる)/実行(計画に従い実作業を行う)/監視・コントロール(実績と計画の差異を監視し必要に応じて対策する)/終結(成果物を正式に受け入れ公式に終了する)の5つ。 - **知識エリア(第6版以前)**: ①統合 ②スコープ ③スケジュール ④コスト ⑤品質 ⑥資源 ⑦コミュニケーション ⑧リスク ⑨調達 ⑩ステークホルダー の10分野。 - **プロジェクトマネジメントの原理・原則/プロジェクト・パフォーマンス領域**: 第7版の中核概念。前者がプロジェクトへの取り組みの基礎、後者が成果を効率的に提供するための行動指針。 (part5に続く)