# 第1章 三匹の子ブタ(終盤:第16幕〜第17幕)※part1から続く章
> 章タイトルは分冊の切れ目のため未確認(**仮**:「三匹の子ブタ」)。part2はこの章の第16幕から始まる。第17幕で「〜おしまい〜」と教訓・まとめまで完結する。
## 中心主張
三匹の子ブタは、同じ「家を建てる」プロジェクトを3匹が別々に実行して2匹が失敗した話であり、失敗の主因は**要件定義の甘さ(品質の定量的な基準がない)と、チームで助け合わなかったこと**にある。末っ子だけが上の2匹の失敗を「記録」し、そこから要件定義の重要性を学んで成功した。さらに完成後も「もっと早く・安くできなかったか」を考え、スケジュール短縮(ファスト・トラッキング/クラッシング)というトレードオフの思考に至る。
## 実践指針
- **納期を縮めろと言われた場面では**、まずスコープ(成果物を減らす・品質を下げる・サイズを小さくする)で調整できるかを検討せよ。ただし現実にはこれは難しい前提で臨め。
- **先行作業の完了を待たずに次を始められそうな場面では**、依存関係と相互影響度を確認し、影響が小さいときだけ並行実行(ファスト・トラッキング)せよ。手戻りリスクを織り込むこと。
- **人や金を追加してスケジュールを詰める(クラッシング)場面では**、「必要な人員を実際に確保できるのか」「追加費用は認められるのか」を先に確認してから提案せよ。
- **スケジュール短縮を決断する場面では**、必ず手直し・コスト増というリスクが伴うことを関係者に明示せよ。短縮は無料ではない。
- **品質要件を書く場面では**、「丈夫な家」ではなく「◯◯m/sの風に耐える」「レンガの重さは◯◯トン以上」のように定量的な評価尺度で定義せよ。測れない要件は検証できない。
- **同種の作業を複数人が並行してやる場面では**、1人で完結しない仕事はチームの力を借りて解決せよ。1人で悩んで抱え込むと時間もストレスも増え、他のメンバーや顧客に迷惑がかかる。
- **困っている場面では**、自分だけで抱え込まず、その分野に精通している人に助けを求めよ。それが難しい仕事を成し遂げる唯一の方法。
- **プロジェクト完了時には**、どのようなやり方で進め、どんな問題があり、どう解決したかを記録し、報告としてステークホルダーに共有せよ(末っ子はこれをやって独立を認められた)。
## 根拠となる事例・考え方
3匹の子ブタは母親の言いつけで、それぞれが「やったことがない」家づくりプロジェクトに単独で挑んだ。藁と木の家は、家の品質の**定量的な評価尺度が明確でなかった**ため、オオカミの息(=プロジェクトに内在するリスク)に耐えられず失敗した。本文は「これが失敗の主な原因」と明言している。
一方で末っ子は、上の2匹の失敗を記録し、そこから要件定義の重要性を学んだ(第17幕:「一番上の子ブタの失敗から要件定義の重要さを学び、教訓として記録」「2番目の子ブタの失敗から定量的な品質評価に関する教訓を得た」)。同じ失敗を繰り返さない仕組みとして、失敗を記録・共有することが成功要因になっている。
また本文は「実は、このプロジェクトには多くのリスクが点在していた」とし、「十分なレンガを調達できない」「ケガをする」なども挙げる。万一これらが発生したら1匹では対応できず、3匹が協力してリスクを減らしていれば無事に家を建てられた、という「チームで助け合う」教訓に接続している。
補助図表として**「チームとグループの違い」**が示される。チームは共通の目的を達成するために集まり、役割が異なり、助け合うことで相乗効果が生まれ**個々の成果の合計を上回れる**。グループは特定の目的のために集まり、各メンバーが同じ作業をし、成果は個々の合計にとどまる。3匹の子ブタは「チーム」ではなく「グループ」的に動いたから失敗した、という読み方ができる。
第16幕は完成後の末っ子の内省である。「そもそも早く家を完成させていれば、オオカミが襲ってくるとか心配しなくてよかった」「煙突をなくせば早くできるが、母は『煙突は必要』と言っていた」「兄ブタが協力してくれたらスケジュールの前倒しができた」など、スコープ・並行実行・資源追加という短縮手段を一通り検討している。
## キーワード
- **ファスト・トラッキング**:先行作業の完全な終了を待たず、次の作業を並行して開始しスケジュールを短縮する技法。依存関係と相互影響度が小さいときに有効で、手戻りリスクを伴う。
- **クラッシング**:資源(人・金)を追加投入して所要時間を短縮する技法。人員確保と追加費用の承認が前提条件。
- **スコープ**:プロジェクト活動で生み出す成果物の範囲。短縮手段としてスコープを狭める/品質を下げる方法があるが、現実には難しい。
- **要件定義**:成果物が満たすべき条件を明確な仕様書としてまとめる工程。ここが曖昧だとプロジェクト失敗の主因になる。
- **定量的な品質評価尺度**:品質を数値で測る基準(例「◯◯m/sの風に耐える」)。これがないと完成物の品質を測定できない。
- **チーム/グループ**:チームは目的・目標を共有し役割を分けて相乗効果を生む集団。グループは同じ作業を各自が行い成果は単純合計にとどまる集団。
- **プロジェクト完了報告**:進め方・問題点・解決方法を記録し、ステークホルダーに共有する完了時の活動。
## 章末まとめ(原文「まとめ」ページより要点)
プロジェクトは日常業務と違い都度内容を決める必要がある/目標と計画で成功シナリオを作る/関係者と常にコミュニケーションを図り共通認識を持つ/多角的に管理しグレーゾーンを無くす/キックオフミーティングで始動する/目標を具体的かつ明確にする/WBSでやるべきことを明確にする/役割と責任を決める/困ったことを具体化して協力し合う/作業の終了時期をカレンダー的に明確にする/作業順序を意識し後工程を待たせない/クリティカル・パス上の作業に集中する/スケジュールで目標達成をシミュレーションする/個人の負荷をチームで減らす/全員で積極的にリスク対策する/納期を守るためスケジュール短縮に挑戦する/チームで助け合う。