# はじめに
## 中心主張
著者は自分を「三流エンジニア」だと自認する努力型の人間だったが、渡米後マイクロソフトの同僚たちの生産性の高さに衝撃を受け、その圧倒的パフォーマンスの正体は才能や記憶力ではなく「思考法」「マインドセット」にあると気づいた。本書はその思考法を言語化し、日本の読者に伝えるものである。
## 論の展開
- 著者は子供の頃からパソコンやプログラミングに憧れ、日本で就職したが、自分は「不器用」「頭の回転が遅い」「記憶力が低い」と感じ続けてきた努力型のエンジニアだった。
- ADHDと診断され、自分の生産性を上げる方法を長年模索し、アジャイル開発のコーチ・コンサルタントとして「人に工夫を教える」立場で経験を積んだ。
- 2001年頃からアジャイルコミュニティに参加し、国際カンファレンスでの講演経験を積む中で「自分が手を動かして何かをつくる仕事」への夢を諦めきれず、渡米を決意した。
- 現在はマイクロソフトのワシントン州シアトル本社でAzure Functionsチームに所属し、クラウドサービスの基盤開発に携わるシニアソフトウェアエンジニアである。
- 渡米後、周囲のエンジニアたちの「圧倒的なパフォーマンス」に何度も衝撃を受け、それが才能ではなく後天的に身につけられる「思考法」「マインドセット」によるものだと確信するに至った。
- 本書は、その思考法・マインドセットのエッセンスを、生産性アップのヒントとして日本の読者(業界・業種を問わず)に伝えることを目的としている。
## 実践指針
- 「自分は不器用・頭が悪い」という自己評価に留まらず、生産性を上げる具体的な方法を意識的に研究する姿勢を持て。
- 「本場」のグローバル企業のマインドセットを学ぶ際は、テクニックの模倣ではなく、その背後にある思考法・マインドセットの理解を目指せ。
- AI時代を生き延びるためには、目先の技術力だけでなく「思考法」というソフトウェアの世界でも通用する普遍的なスキルを体得せよ。
## 根拠となる研究・事例
- 著者自身のキャリア: 日本で5年間営業職を経験した後にプログラマに転身し、UNIXシステムエンジニアとして「三流」を自認しながらも独学でスキルを磨いた。
- アジャイルコーチ・コンサルタントとしての経験: 「人に工夫をやってもらう」仕事を通じて、ソフトウェア開発コミュニティにおけるコーチング・啓蒙的手法(プロジェクトマネジメント、エバンジェリストなど)を実践した。
- マイクロソフト入社後の衝撃: シニアソフトウェアエンジニアとして、世界中の人々に影響を与えるクラウドサービスの中身をつくる一員として働く中で、周囲の「一流エンジニア」たちの生産性の高さに度々衝撃を受けた。
## キーワード
- **一流エンジニア**: 本書における理想像。単にプログラミング技術が高いだけでなく、独自の思考法・マインドセットを持ち、高い生産性を発揮するエンジニアを指す。
- **思考法(マインドセット)**: 本書の核心概念。小手先のテクニックではなく、仕事への向き合い方や頭の使い方そのものを指す。
- **生産性の悪さ**: 著者が自認していた課題。効率よく人並みのことができない状態を指し、本書全体を貫く出発点となる問題意識。