# おわりに
## 中心主張
コロナ禍によるリモートワークの増加は、雑談の重要性を逆説的に浮き彫りにした。オンライン化で「つながり」が希薄になり、多くのビジネスマンが雑談の「意味」と「意義」を改めて認識することになった。本書における雑談とは、天気の話や世間話ではなく、**相手のことをしっかりと理解するための「本質的な会話」=深い会話**であり、それを可能にするのは「好奇心」「知識」「経験」の3要素である。
## 実践指針
- **雑談を定義し直す場面では**、雑談=天気の話や世間話ではなく「**相手のことをしっかりと理解するために本質的な会話をすること**」と捉えよ。相手を理解するための大事なプロセスである。
- **チームビルディングをする場面では**、ビジネスであれ何であれ、お互いのことをきちんと理解し合うことが成果を出すための大事なプロセスだと認識せよ。
- **深い雑談をしたい場面では**、次の3要素を揃えよ。
1. **好奇心** — 相手の360度に興味を持ち、その人格や考え方、好み、社会的立場までを含めて全人的に関心を持つこと
2. **知識**
3. **経験** — 自分が持っている知識とこれまでに得た経験を総動員すれば、相手を理解するための会話が生まれる
- **会話が途切れる/言葉に詰まる場面では**、表面的な会話をしていることが原因だと考えよ。相手を理解するための会話ができれば、表層的な雑談に終始することを避けられる。
- **上っ面の表面的な会話を繰り返すな**。いくら雑談をしても、それでは互いの信頼関係が高まることはない。
- **ビジネスの場でどんな話をする場合でも、次の4つのポイントを常に意識せよ**。
1. 相手を驚かせないレベルの「自己開示」をして、自分という人間を知ってもらう
2. 好奇心を持って、相手の「人間性」や「人となり」を知ろうとする
3. 「信頼関係」の構築が目的であることを忘れない
4. 相手と「ラポール」を作れているか、客観的な目で観察しながら話す
- こうした雑談を丁寧に積み重ねていくことが、ビジネスで成果を生み出すための「**原動力**」となる。
## 根拠となる事例・考え方
- **コロナ禍による変化**: 在宅勤務が増え、チーム内のミーティングがオンラインに切り替わった。オンラインのミーティングは、苦手な人と会わなくて済むという思わぬ効果を生み出した反面、意思疎通が曖昧になるなど人と人とのコミュニケーションに様々な障害が出ることがハッキリとわかってきた。
- **オンラインの構造的な問題**: 簡単な挨拶を交わすだけですぐにアジェンダに入るため、どうしてもチームとしての「つながり」が希薄になってしまう。
- **雑談苦手層の変化**: オンライン導入が始まった当初、雑談が苦手な人たちは「余計な会話をしなくて済むので助かる」と歓迎ムードで迎え入れていた。しかし時間の経過とともに、それは次第に不安へと変わっていった。
- **不安の中身**: マネジャーが「チームのメンバーが、本当はどう思っているのか?」がわからない。ビジネスの経験が浅い若手社員だけでなく、幅広い世代のビジネスマンが、これまでに感じたことのない不安に直面することになった。
- **著者の総括**: 日本のビジネスマンは雑談を世間話や無駄話と軽く考えていたはずだが、ビジネスの雑談には「相手との信頼関係を高める」「ラポールを作って、リラックスした状態で仕事に向き合う」という大事な役目があることを、実体験として学んだのではないか。
- **著者の願い**: 日本のビジネスマンが雑談の「新たな可能性」を認識して、それを明日の仕事に役立ててくれれば、これほど嬉しいことはない。企業の戦略と組織のコンサルをしている者として、どこかで会う機会があれば、有意義な雑談の時間を共有できることを楽しみにしている。
## キーワード
- **雑談に必要な3要素**: 「好奇心」「知識」「経験」。本書における雑談の定義(=チームの生産性を向上させて成果を出すこと)を実現するための土台。
- **本質的な会話**: 天気の話や世間話ではなく、相手をしっかり理解するための深い会話。本書の言う「雑談」の中身。
- **好奇心(定義)**: 相手の360度に興味を持ち、その人格や考え方、好み、社会的立場なども含めて、全人的に関心を持つこと。
- **自己開示**: 相手を驚かせないレベルで自分という人間を知ってもらう行為。ビジネスの雑談で意識すべき4ポイントの筆頭。
- **ラポール**: 信頼関係。作れているかどうかを客観的な目で観察しながら話すことが求められる。
- **雑談の「原動力」**: 丁寧に積み重ねた雑談が、ビジネスで成果を生み出す駆動力になるという本書の締めくくりの位置づけ。
---
## 巻末(要約対象外・存在の記録のみ)
- **謝辞**(PDF p.29 / 進捗98%): 編集の坂口雄一朗氏、関口雅之氏をはじめ、阿部真紀氏、神田美紀氏、佐藤博氏、鷹野麗氏、高宮正明氏、竹中花梨氏、西本留依氏、和田真氏への謝辞。著者SNSは Facebook / Twitter @piotrgrzywacz。
- **制作クレジット**(p.30): カバーデザイン 金澤浩二/カバー・本文イラスト 西田真魚/編集協力 関口雅之。
- **著者略歴**(p.31): ピョートル・フェリクス・グジバチ(Piotr Feliks Grzywacz)。連続起業家、投資家、経営コンサルタント、執筆者。プロノイア・グループ株式会社代表取締役、株式会社TimeLeap取締役、株式会社GA Technologies社外取締役。モルガン・スタンレーを経てGoogleで人材開発・組織改革・リーダーシップマネジメントに従事。2015年に独立しプロノイア・グループを設立。2016年にHRテクノロジー企業モティファイを共同創立し2020年にエグジット。2019年に起業家教育事業のTimeLeapを共同創立。著書に『NEW ELITE』『パラダイムシフト 新しい世界をつくる本質的な問いを議論しよう』『世界最高のコーチ』など。ポーランド出身。
- **奥付**(p.32): 令和5年3月1日 初版発行/発行者 小早川幸一郎/発行 株式会社クロスメディア・パブリッシング/発売 株式会社インプレス/©2023 Piotr Feliks Grzywacz。電子書籍は令和5年4月1日発行の第1版の底本に基づく。
- **読者アンケート告知**(p.33)およびKindleの読了画面(p.34)。参考文献リストは本書には収録されていない。