# Part2 なぜ「社内の雑談」が重要なのか?
(第2章内のPart2。part2 PDFのp7〜p13、進捗43%〜48%)
## 中心主張
会社はビジネスの場である以上、社内のコミュニケーションはアウトプット(成果)に結びつく必要がある。しかし「社内の雑談=勤務時間中の無駄話」という決めつけは正しくない。会社は人と人が様々な形で触れ合いながら働く場所であり、ビジネスの話や業務連絡だけを綿密にしても成果は得られない。雑談は信頼と心理的安全性をつくるインフラであり、その不在は人間関係の悪化とパフォーマンス低下を招く。
## 実践指針
- **「雑談ばかりしているチームは不真面目」と見える場面では**、その印象を疑う。単なる印象と結果が真逆になるところが「社内の雑談」の難しさであり面白さ。
- **チームの状態を測りたい場面では**、オフィスの「音」に耳を傾ける。**社員の笑い声・雑談の話し声・「こんにちは」「いらっしゃいませ」という挨拶の有無**を大切なシグナルとして扱う。
- **オフィスに一歩入って静まりかえっている/辛気臭い場合は**、危険シグナルとして扱い、業績・社風・トップの方針・特定マネジャーのキャラクター・マネジャーとメンバーの関係など、**あらゆる可能性を検討する**。
- **成果が出ていないのに笑い声がする場合は**、逆に「社員が真剣に仕事と向き合っていない/環境が整っていない」と判断する。(笑い声の有無は単独では判断材料にならない)
- **メンバーが落ち着いて仕事と向き合っていない場面では**、タスクとの向き合い方を点検するだけでなく、**「最近、何かあった?」「イライラしているみたいだけど、大丈夫?」と相手を気遣う**ことから入る。
- **問題を扱う場面では**、プライベートに首を突っ込んで「ファクト(事実)ベース」の会話をするのではなく、あくまで**「価値観ベース」「信念ベース」の雑談**をしながら、相手が抱えている問題を共有して一緒に向き合う。
- **自分の評価・判断に迷う場面では**、それがバイアスでないか疑う。日ごろの雑談を通じてお互いに意思を確認し合い、**相手の思い込みや決めつけを尊重する気持ちを持つ**(=バイアスは対話でしか排除できない)。
- **女性の部下に配慮する場面では**、「負担が伴う仕事は任せるべきでない」「ストレスのかかる仕事はかわいそうだ」という"善意"を止める。それは**チャレンジの機会を奪う差別**である。回避には日ごろの雑談を通じて**自分の考え方を周囲にハッキリ伝えておく**必要がある。
## 根拠となる事例・考え方
- **日本の大手広告代理店の実験**: 雑談ばかりしているチームと、雑談を一切しないチームの働き方を比較検討した。結果、**雑談をしていたチームの方が圧倒的にパフォーマンスが上回っていた**(雑談しなかったチームは空き時間を見つけるとメンバー同士で仕事以外の話を一切していなかった)。経営者や上司の目には、雑談しないチームが「真面目」、雑談ばかりのチームが「チャランポラン」と映りがちで、印象と結果が真逆になる。
- **一般社団法人日本能率協会のビジネスマン1000人調査**: 全体の**7割以上**が「雑談することは職場における人間関係を深めることにつながっている」、全体の**6割**が「雑談することは自分の業務の生産性を高めることにつながっている」と回答。
- **雑談の不在が招くもの**: 会社や部署のパワーダイナミクス(力関係)や社内政治の変化を察知できず、気づいたら蚊帳の外に置かれていた、という悲劇。目先のタスクに集中しすぎて周囲と雑談しないことで起きる。雑談の軽視は**リスクヘッジの放棄とイコール**。
- 同じプロジェクトを担当しているチームの仲間同士が、雑談せず意思疎通を欠いたまま一緒に働き、**結果的に関係を悪化させるケースは意外に多い**。
- **バイアスの3類型**(社内の代表例):
- **アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)**: 「定時で帰る社員はやる気がない」「育児中の女性社員に営業は無理」「雑用や飲み会の幹事は若手の仕事と決まっている」など。
- **親和性バイアス**: 自分と似たところのある相手に親しみを感じる傾向。自分の母校を卒業した後輩や部下に無意識に高い評価をつける。
- **確証バイアス**: 親近感を覚えている相手の評価を無意識に底上げする/自分が正しいと思っていることを正当化する情報ばかりを集め、否定的な材料を無視する。採用試験で「高学歴だから、仕事ができるハズ」と思い込んで無条件に高評価をするのが代表例。
- グーグルは**5年ほど前から「アンコンシャス・バイアス教育」**に取り組み、日本企業でもバイアス教育に目を向ける企業が出始めている。
## キーワード
- **心理的安全性**: 雑談によって高まる、社員が率直に意見・疑問・悩みを伝えられる状態。
- **職場の雑談7つの相乗効果**: ①職場の人たちと仕事以外の「つながり」ができる ②お互いの「信頼感」が高まる ③職場の「心理的安全性」が高まる ④「働きやすい環境」が生まれる ⑤仕事の「モチベーション」が高まる ⑥ミーティングで「発言」しやすくなる ⑦会議の結論に「納得」して働けるようになる。
- **エンゲージメント**: 雑談を通じてお互いを知り、関心を示すことで高まる「深いつながりを持った関係性」。
- **パワーダイナミクス**: 会社や部署の力関係。雑談していないと変化を察知できない。
- **アンダーパフォーマンス**: 成果が出ないチーム状態。雑談でメンバーの仕事以外の外的要因も視野に入れる必要がある。
- **アンコンシャス・バイアス / 親和性バイアス / 確証バイアス**: 上記3類型。日ごろの雑談を通して低減する。
- **ベネヴォレント・セクシズム(慈悲的性差別)**: 「親切な」「慈悲深い」という意味の**ベネヴォレント**を冠した、一見すると善意や親切心のように見える方法で表現される性差別。「女性は弱く繊細な存在だから、男性が保護しなければならない」という西洋の騎士道精神・父権主義の価値観から生まれたとされ、根底には「女性は男性に対して劣る存在だ」という考えがある。表面的には悪意が感じられず親切心にも見えるため**社会的にも許容されやすく、女性にも支持されやすい**のが特徴。結果的に女性がチャレンジの機会を失い、個人の能力や意思の軽視、男女の不平等を助長する。