# 第2章 Part1(仮タイトル:グーグルの雑談文化)※part1から続く章 > 注記: 分冊part2は本章の途中(39%地点)から始まる。章タイトル・Part見出しは part1 側にあるため未確認。ここでは内容から仮タイトルを付けた(**仮**)。収録セクションは「2000人以上の部下の名前を覚えた人事のトップ」以降の4節。 ## 中心主張 グーグルをはじめとする海外一流企業では、雑談は「余った時間にする無駄話」ではなく、上下関係を作らずに人を人として扱うための組織インフラになっている。トップが2000人の部下の名前を覚え、マネジャーがコーチとして振る舞い、誰とでも気軽に1on1を申し込める風通しの良さが、結果として躍進の原動力になっている。日本企業のように「上司と部下」という縦の関係で捉えている限り、この効果は再現できない。 ## 実践指針 - **部下・メンバーに声をかける場面では**、「あなた」「きみ」で済ませず、**必ず名前を呼んでから雑談を始める**。呼ばれた側がどんな印象を持つかを想像してから口を開く。 - **相手が新人・若手であっても**、名前と顔を覚えて自分から声をかける。「ジョンさん、今日はシドニーから来たんですよね。疲れてないですか?」のように、**相手の状況を1つ添えて**切り出す。 - **1on1を持ちかける場面では**、重々しく設定せず「Let's have a coffee」「Let's have a chat(雑談しましょう)」と誘い合う。1日のどこかで30分を作り、カフェテリアなどで雑談する。 - **1on1の時間は「マネジャーのもの」ではなく「メンバーのもの」と割り切る**。あれこれ質問して詰めるのではなく、その時々でメンバーが「気になっている」「悩んでいる」「話したい」ことをテーマにする。 - **プライベートな相談に乗ってよい**。成果を上げているマネジャーほど、1on1の意味・意義・目的を「これはプライベートな相談に乗る時間でもある」とハッキリ認識している。 - **議論する場面では**、「とにかく頑張れ」「気合が足りないぞ」と言わない。必ず「そのエビデンスは?」を問う、合理的で客観的な会話に置き換える。 - **注意・指摘をする場面でも**、イタズラ風のメッセージで伝えるなど、角を立てない伝え方を工夫する(例:席を離れた社員の画面に、可愛い映像付きで「あなたは気づいていない」→「あまり注意していなかったんだね」→「おバカなんだよ!」というメッセージが届く仕組み)。 ## 根拠となる事例・考え方 - **ラズロ・ボック**(グーグル人事担当上級副社長/バイス・プレジデント、『ワーク・ルールズ!』著者)は、当時世界中に2000人以上いた部下**全員の顔と名前**を覚え、誰にでも気軽に声をかけていた。著者がアジアパシフィックの人材育成統括部長だった当時、**入社1年目の新人にも必ず名前を呼んで**気さくに雑談していた。 - グーグルの経営幹部は、社員とのコミュニケーションを非常に大事に考えている。 - **マネジャーとメンバーは「上司と部下」ではなく、プロスポーツチームの「コーチと選手」の関係**。コーチは選手がいいパフォーマンスを出すためのアドバイスとサポートをするのが役目で、マネジャーも自分がアウトプットを出すのではなく、メンバーのアウトプットを最大化するためにアジェンダにまつわるすべてを判断する。 - 大人と大人のビジネスなので、**マネジャーが考えを押し付けたり頭ごなしに怒鳴ることはない**。日常的な雑談で考え方を共有し、同じ方向を向いて仕事をする。 - エンゲージメント(働きがい)調査 **『Googlegeist』** に「**My manager treats me as a person**(私のマネジャーは、私を人として見ている)」という項目がある。他に「私のマネジャーは、私を人として扱っている」もあり、メンバーが「非人間的な扱い」と判断すれば、そのマネジャーはすぐにデスクを片付けて会社を去ることになる。徹底した結果主義の会社だが、**メンバーの働き方・働きがいに関しても非常にシビア**。 - 社員のほとんどが博士号を持ち、その割合はNASAよりも高いといわれる。探究心が強く好奇心も旺盛なので、上司と部下の1on1でも根性論は通用しない。 - 社員は賢く自立した大人なので、**雑談が人の噂話に終始することはない**。ウワサ話をしても、それが自分のパフォーマンス向上につながるわけではないため、**話題は自然と建設的な方向に向かう**。 - 4月1日のエイプリルフールにトラップを仕掛け、10月31日のハロウィンには仮装で一日仕事をするなど、自由な雰囲気の中で働いている。全員がパソコンを持ち歩くため、**離席時は必ず画面をロックするのが社内ルール**。 ## キーワード - **ワーク・ルールズ!**: ラズロ・ボックがグーグルの人事制度の原則・理念を記して出版した書籍。日本でも話題になった。 - **コーチと選手の関係**: マネジャーとメンバーの正しい関係モデル。上下関係ではなく、成果を最大化するための役割分担。 - **Googlegeist**: グーグルの組織状態を可視化するエンゲージメント(働きがい)サーベイ。 - **1on1(ワンオンワン)**: マネジャーとメンバーが1対1で行うミーティング。グーグルではメンバーのための時間と定義され、テーマもメンバーが決める。誰とでも気軽に申し込める。 - **風通しの良さ**: 立場に関係なく気軽に声をかけ合え、注意さえユーモアで伝えられる状態。著者はこれをグーグル躍進の原動力と位置づける。