# 第1章 「答えのないゲーム」の戦い方をしませんか? ——「答えのないゲーム」の戦い方・3ルール
## 中心主張
私たちは義務教育・大学受験・資格試験を通じて「答えのあるゲーム」に溺れに溺れた人生を送っており、その戦い方しか経験していない。しかしビジネスも人生も明確な正解がない「答えのないゲーム」であり、そこに「答えのあるゲーム」の戦い方(正解を当てにいく、上司に「これで合ってますか?」と聞く)を持ち込むと機能しない。本章はその戦い方を**3つのルール**に集約し、暗記・暗唱すべきメインディッシュとして提示する。
## 実践指針
- **【最重要】3ルールを暗記・暗唱せよ。** ①「プロセスがセクシー」=セクシーなプロセスから出てきた答えはセクシー ②「2つ以上の選択肢を作り、選ぶ」=選択肢の比較感で"より良い"ものを選ぶ ③「炎上、議論が付き物」=議論することが大前提。時には炎上しないと終われない。
- **「答え」単体で勝負する場面では、「プロセス」+「答え」で語れ。** 答えのないゲームには解説書がなく、レビューする上司も正しいか判断できない。だから「プロセスが最高で非の打ち所がないのだから、そこから導き出した答えは最高だ」という思考にシフトする。
- **アイデアを1つ思いついた時点で飛びつくな。** 思いつきに飛びつかず、セクシーなプロセスを愚直に回すことこそが、アイデアを生む唯一の手段。
- **1つの答えを持って上司にどや顔をするな。** 「自分はポンコツだ」と自覚し、もう1つ選択肢を作れ。新規事業の立案なら8つくらいのアイデアを作る。
- **選択肢を作る場面では、必ず比較して語れ。** 比較することで「なぜ、それを選ぶのか?」を自然と言語化できる。
- **上司に「これで合ってますか?」と聞きそうになったら止まれ。** それは上司にだけ「答えのないゲーム」をさせ、自分は「答えのあるゲーム」をしていること。ホウレンソウ(報・連・相)メンタリティは捨てる。
- **議論で違う意見が出ることを前提に準備せよ。** 相手は自分と異なる意見を持っていて当然。炎上や喧々囂々のやりとりが発生するというイメージを持っておく。
- **議論で違う意見がまったく出てこなかった時は警戒せよ。** その場合は「参加者がポンコツか、あなたが偉すぎるか」のどちらかである。
- **言葉選びの場面(部下・後輩への声かけ等)でも選択肢を2つ以上出せ。** 例:「バカなの?/ポンコツ?/お茶目?」と3つ挙げてから、状況に応じて選ぶ。
- **スライドを書く時は次の4ステップを1つも飛ばすな。** ①論点を明確にし、その上でメッセージをきっちり言語化する ②そのメッセージを支えるファクトを必要最低限注入する ③スライドのイメージを考える ④ここまでの作業をワードでやり切り、その上でPPTを作る。加えてフォーマットも最低2つ考えた上で素敵なほうを選ぶ。
## 根拠となる事例・考え方
**「答えのあるゲーム」の思考パターン**: 「答えはこれ!」→「合っている? 間違っている?」→「違うか。ではこれ!」→「当たり!」→「OK」。過去の経験に基づく答えであれ、当たればそれでよく、それ以上の理由は必要ない。これは正解を目指すゲームの攻略法。
**社会に浸透していた「答え」の崩壊**: ひと昔前は「大企業に就職すれば人生安泰」が明確な答えとして機能していた(今はツイッターで罵声を浴びる)。「結婚して、家庭を作り、子どもを育てる」も同様。いま「キャリアをどう築くか?」は答えのないゲームだと皆が気づき始めている。
**算数の問題による対比**(1-2): 「異なる4つの整数A、B、C、Dがあり、小さいほうから2つずつ取り出して和を求めると、25、30、33、34、37、42の6通りになった。A、B、C、Dを答えなさい」(出典:『灘中・開成中・筑駒中 受験生が必ず解いておくべき算数101問』エール出版社)。解答は A=11、B=14、C=19、D=23。ここで重要なのは、答えのあるゲームでは「どんな解き方をしているか?」はあまり論点にならず、解説を見れば答えが載っており、手っ取り早く問題集の後ろで確認できてしまうこと。**逆にいえば、答えのないゲームでは「どんな解き方をしているか?」こそが論点になる。**
**新規事業の立案例**(1-3〜1-4を貫く事例): 新規事業の立案を任され2週間後にプレゼンする状況。「答えのあるゲーム」でやると、思いついた1つの「新規事業のアイデア自体」にフォーカスした説明・働き方になってしまう。考えた案は1つだけで「どうでしょうか?」と問いかける——これは「私は"答えのあるゲーム"をしています」と宣言しているようなもの。
**『ビジネス・クリエーション!』の24ステップ**: 著者が大好きな本のサブタイトルは「アイデアや技術から新しい製品・サービスを創る24ステップ」。新規事業のような、どこからどう見ても「答えのないゲーム」の場合、思いつきのアイデアに飛びつかず、24ステップというセクシーなプロセスを愚直にやることこそが、アイデアを生む唯一の手段である。
**魚見茶寮 VS 暴熊東京**(1-4): 数年ぶりに親友とご飯に行く場面。「どこに食べにいくか?」を考える時、「友人は何が好きだったかな?」とインスタやフェイスブックの過去ページを調べ、選択肢を磨きこむ。「大好きすぎる恵比寿にある魚見茶寮だ!」と1つ思いついても「まさに、ここだ!」とはならない。**日本酒×和食なら「魚見茶寮」VS ホルモンなら「暴熊東京」**と2つ以上並べる。「対面でじっくり仕事の相談をしたいから、カウンターがメインの魚見茶寮」「テーブルもある暴熊東京にしよう」「今回はちょっとややこしいプライベートな相談をしたいから、"酔わずにいられない"ということで日本酒が合う魚見茶寮にしよう!」——このように比較することで、「なぜ、それを選ぶのか?」を自然と言語化でき、もう一回転、思考を回せる。
**「諸悪の根源」**(1-5): 上司から仕事を振られて、せっせとまじめに取り組み、ある程度できたところで上司に「こんな感じなのですが、いいですか?」と聞く。これが最悪。上司も「これでいいですかね」とさっくり決まるなら、それは「答えのあるゲーム」に他ならない。答えのないゲームをしている限り、その仕事の終着点は**必ず議論**である。
**炎上が苦手な理由**: 議論には「炎上」が付き物であり、「傷つくし、傷つけてしまいそう」と思っているから。しかし答えは無限にあるのだから、異なる意見が出るのは当然である。
**第1章末の漫画**: 部下がカフェで「新規事業についてこれでよろしいでしょうか」と送信しようとする → 著者(考えるエンジン 高松智史)が「ちょっと待った〜!!」と登場 →「あなた今、上司に『合ってますか』って聞こうとしてますよね」→「えまあ報連相は基本ですし」→「ダメです!」→「上司にだけ『答えのないゲーム』をさせてはいけません。あなた自身も『答えのないゲーム』に参加するべきです」。さらに次ページで「まずはこれを暗記しましょう!」と3ルールを提示し、「次の章から思考技術を授けていきます! 第2章 示唆/第3章 B○条件/第4章 ゲーム&ゲーム/第5章 5つのゲーム感覚。身につければ強力な武器になりますよ!」と武器(剣)の絵で示す。
## キーワード
- **答えのないゲームの3ルール**: ①プロセスがセクシー ②2つ以上の選択肢を作り、選ぶ ③炎上、議論が付き物。本書最大のメッセージであり、暗記対象。
- **セクシー**: 「非の打ち所がない」「最高である」の意で著者が用いる形容。「セクシーなプロセス」=手順そのものが磨き抜かれている状態。
- **プロセスがセクシー**: 答え単体には価値がなく、最高のプロセスから導かれた答えだから最高だ、と主張できる状態を目指す考え方。「答え」単体 →「プロセス」+「答え」へのシフト。
- **選択肢の比較感**: 絶対的な答えがない以上、複数の選択肢を並べた相対比較でしか答えに近づけない、という考え方。
- **炎上**: 議論で意見が衝突し、喧々囂々になること。避けるべきものではなく、答えのないゲームに付き物の通過点として扱う。
- **ホウレンソウ(報・連・相)**: 社会人1年目には大切だが、「答えのあるゲーム」の始まりでもある。「報告、連絡、相談していいですか?」精神よ、さようなら、が3つ目のルールの精神。
- **ポンコツ**: 思考をサボっている状態・人を指す著者の言い回し。1つの答えでどや顔をする自分を「ポンコツだ!」と自覚することが出発点。
- **スライドライティングの4ステップ**: 論点明確化+メッセージ言語化 → ファクトを必要最低限注入 → スライドイメージ → ワードでやり切ってからPPT。「PPTはできるけどスライドは書けない」人が飛ばしている工程。